実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「死を告げる者」(27分)
弥生さんという女性の体験談。現在は工場勤務の弥生さんだが、以前は病院内にある終末看護の病棟で看護助士の仕事をされていたそうだ。 若い方から年配者まで患者さんたちは様々だったそうだが、仕事にも慣れてきた二ヶ月ほどたったある日、一人でとある病室を訪れた際に嫌なモノを見た。 70代くらいのお爺さんのベッドの上、天井から女が覗いている。ショートカットの髪が顔を隠していて目鼻立ちまでは解らないが、白い着物を着て上からお爺さんを見下ろしている。 やがてぎょっとしている弥生さんの耳に「二週間後に死ぬよ」という声が響いた。果たしてそのお爺さんは二週間後息を引き取ったのである。
「青緑の人」(25分)
北海道小樽市在住のまさしさんは現在31歳。彼がまだ大学一年生だった夏の出来事である。 二つ隣町にある大学に電車通学するのが大変で学校傍に部屋を借りて一人暮らしを始めたが、毎週金曜日には実家に帰省して……という暮らしだった。 焼けるように暑い金曜日だった。帰宅し一家団欒の後二階にある寝室で床に就いたまでは良かったのだが、夢を見た。実家のリビングでくつろいでいる夢なのだが、そのうちガラス戸越しに見える外の景色に違和感を覚えて目を遣ると、そこには誰かが立っている。 半笑いでこちらに向かって手を振っているのだが、その人物の肌の色は何とも言えない青緑色で……。
「ペタペタ」(34分)
HN七里香さんという女性が高校二年生の時の事。友人のるみちゃんが夏休みに入ったら彼女のお婆さんがいる岐阜まで遊びに行こうよと誘ってくれた。 どうやら地元で有名な心霊スポットがあり、中学生まで岐阜にいたるみちゃんはそのころの友人たちと肝試しに行く予定を立てているという。 七里香さんは心霊スポットへ行くことが嫌だなと思ったのと、部活の強化合宿の日程が重なっていたこともありその誘いを断ったのだが、せっかくの誘いを断った罪悪感もあってそろそろ帰ってきているだろうと言う頃合いを見てるみちゃんに電話をすると、るみちゃんはまだ岐阜にいるという。電話の声に元気がなく、心配だった。 夏休みも間もなく終わるころ久しぶりに再会したるみちゃんはあからさまにげっそりやつれていたそうだ。
「託する」(27分)
鈴木さん(仮名)という女性が今から十五年ほど前に体験した出来事。 当時鈴木さんは京都にある小さな花屋で仕事をしていた。朝は早いし、水仕事、決して楽ではない仕事だが美しい花に囲まれて気に入って勤めていた。長く交際していた男性と結婚もし順風満帆のように思えたが、生活のためには共働きは否めなかった。そんなある日鈴木さんは夢を見た。不思議な夢だった。真っ暗というより真っ黒な世界が果てしなく広がる空間に一人で立っている。疲れたなと思うと珍しい木彫の立派な椅子が現れそこに腰を下ろす。すると間もなく向こうから見たこともないフックラした中年の女性がやってきて「お願いします。頼みましたよ」と何度も頭を下げるのだ。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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