実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「お前も見た?」(23分)
ダイキさんが長野県、善光寺の参道でお仕事をされていた頃、帰り道は表の大通りを使わずに、善行寺裏手の山道を使っていたそうだ。 九月か十月の雨降りの夕方、仕事を終えて車に乗り込み、ワイパーで雨をはじきながら帰路に就く。暗くなり始めた道の端に黄色い傘を差した小学生の男の子が立っていた。 道路を横断したいのだろうと手前で車を停めると、男の子は左右を確認せずに渡り始めた。 その時、対向車が速度を上げて猛然と走ってきた...。
「盆の入り」(21分)
医療に従事して二十年以上のベテラン看護師の女性がまだ新人の頃、
当時彼女は消化器内科と泌尿器科の混合病棟の勤務だった。
その日は朝7時からの早番勤務で大忙しだった。
入院患者のモーニングケアや朝食の配膳、
一つ一つの病室を漏れなく対応しなければならないからだ。
一通り終わっていざ最後の個室を訪ねると、
ベッドを囲むカーテンがまだ閉じられており、中から
「もう少し寝たいから後にしてくれ」という声と、
血流促進の油圧式の機械のシュー...という機械音が聞えた。
ひとまず了解してナースステーションに戻ったはいいのだが...。
「みきおくん 前編」(24分)
体験者の女性には大切な幼馴染がいる。名前はみきお君。
いつも笑顔が絶えず、特に目立つ存在ではなかったが、人が億劫がる仕事を率先してやるタイプで誰からも愛されていた。
やがて二人とも高校生になり学校もばらばらになったが、通学の電車で乗り合わせ交流は続いていた。 ある日、不良になっていた体験者が体調不良で早退して家まで歩いていた時、1台の二人乗りのバイクが近づいてきて脇に留まった。
バイクを買って興奮気味のみきお君と小学生時代の友人だった。
「また美佐子(共通の友達)の家で会おうな」と約束をして別れたのだが、その晩にみきお君は命を落としてしまう。
「みきおくん 後編」(24分)
翌日通学の電車の中で、みきお君と共通の友達の美佐子が青い顔で近づいてくると、
みきお君が事故で即死したと教えてくれた。どうやら昨日体験者が道端で会った後、夕方の事だった。
ところが亡くなったはずのみきお君が深夜、美佐子の部屋を訪ねてきたというのだ。
美佐子の家は農家で一階にいる祖母に声をかけ、了承を得られると框を上がって
すぐの二階に上がる階段を上がってきたという。みきお君は階段を二段飛ばしで登ってくるから聞き違えようがない。 二階の自室で怯えていると「美佐子の家で会おうって約束したんだ...その事伝えようと思って」と確かにみきお君の声がドアの向こうから聞こえたというのだ。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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