実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「赤いちゃんちゃんこ」(30分)
山本さんという27歳の体験者の男性は霊感の自覚がないという。 彼がまだ高校生の頃、当時交際していた他校の彼女とはなかなか頻繁にデートが出来ずにいた。そしてその年の夏、久しぶりのデートに地元高知県の海に行くことにした。 泳ぐつもりではなかったが、ゆっくり二人きりの時間は満喫できる。自転車で二人乗りして汗だくになりながら浜辺についてよもやま話に花を咲かせその帰り道、ふと思い立って地元で有名な山に寄ることにした。展望台があり夕景を望むにはロマンティックこの上ない。 しかしこの寄り道が思いもよらぬナニモノかを呼び寄せてしまうことになるとはその時は予想だにしていなかった。
「広めてはいけない」(32分)
怪談話に携わるようになって時々特有の困難にぶつかることがある。 巡ってきたご縁のある体験談や、自身のエピソードであるから大事に語らせてもらおうと思うのだが、邪魔をされることがあるのだ。いたずらか、怒りか、はたまた悲しさからなのか、どうしてもつまりその目に見えない何かの力が作用してうまく語れない、書けない、収録できないなどといったことがまま起きる。 近く全国ツアーの最中札幌を訪れた晩の事。本番を明日に控えゲスト出演を依頼していた女性に挨拶もかねて電話をしていた時の事だ。 函館の大火にまつわる興味深い話があるというのでぜひ伺いたいと言ったとたん声が聞こえなくなってしまったのだ。そればかりでない奇異なことが待っていた。
「軋むストレッチャー」(30分)
落合さんがその病院に勤めていた頃、その病院にはERの設置がなかった。当直医1名、看護師長1名、看護師1名の申し訳程度の深夜救急で大変な激務だった。 霙降るその晩のことを彼女は今も忘れない。勤務について間もない18時か19時頃、担当医が来て「これから1台救急車が来るけど、診断書を書くだけだから」と力なく告げたのだ。診断書とはつまり死亡診断書の事。つまりこれから運ばれてくる患者はすでに息を引き取っているのだ。 準備して待っていると到着したのはまだ19歳の若さで自ら首を吊って自死を選んだ哀れな大学生の男の子だった。
「布団部屋」(30分)
フリーのバスガイドをしているナオちゃんは昔から相当に霊感が強い。その彼女がガイド三年目、今から二十年ほど前に体験した出来事である。 北海道の観光シーズンはどの地も観光客で賑やかだが、札幌からほど近い定山渓もその一つである。勇壮な渓谷、澄んだ空気に温泉、人気のスポットだが実は歴史を紐解けば遊郭街、当時は我が身の不幸を病んで多くの自殺者が絶えない土地でもあったという。 今はすっかり観光化され美しく整備されその頃を偲ぶものは少ないが、当時から営業を続けている古いSという旅館には嫌が応にも思い出さざるを得ない噂があった。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
|