実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「連れてくる」(23分)
怪談好きのマコトさんという二十代の女性が聞いた松本君という同僚の体験。 松本君は昔から霊感が強いそうで、様々なモノを見たり、聞いたりと怪体験を繰り返してきた。彼が高校生のころ(何年生で、季節がいつだったかをなぜか思い出せないらしい)放課後、部活終わりで遅くなったために、急いで帰ろうと自転車にまたがって帰路を急いでいた。この時、近道で帰りたい一心からいつもは使わない狭い裏道に入ってしまう。 人通りのない暗い道、やがて行きての先に不意に真っ黒い人が現れた。
「声」(30分)
弘美さんという女性の体験。彼女が中学校二年生の秋の事、学校帰りの通学路は周りが畑や田んぼばかりの田舎道。 明るいうちこそ開けてのどかな景色だが、夕暮れ時一緒に帰る友人もいないときなどは、どこか寂しく心細い。更にはしばらく行ったある区画は、田んぼをぐるり囲むように防風林のような木立があって、そのわきを通るとすぐ横にある林の奥の静けさが何とも言えない怖いような気持ちを誘う。 いつ通ってもなれないその木立の横にさしかかったとき「オンギャー!」と赤ちゃんの泣き声がすぐそばの大きな木の根元から響く。弘美さんは思わず立ちすくんだ。
「誰を待ってるの?」(26分)
「声」の体験者である弘美さんの別の体験談。弘美さんが高校三年生の年、校内ではこっくりさんが流行っていた。 彼女の進学していた高校は昭和初期の創設だった旧校舎がまだ残っていて、普段使われている現校舎と別に部活動の部室代わりに使用されていた。おまけにおそらく旧校舎時代と同じ古さのはなれにあるトイレも立ち入り禁止にもかかわらず敷地内に残されていたそうだ。その日も部活終わりに現校舎二階の教室に数人の友人と集まりこっくりさんを楽しんだが、気づけばだいぶ表も暗くなり、校内に残っているのが弘美さんと友人二人きり……。 いざ帰る段になってそれはハッキリ姿を現した。
「導きの手」(23分)
HNナースフリーさんという女性が体験した出来事。彼女が小学校低学年のころ、学校が休みになるといつもお母さんと二人で自宅から車で30分ほどのところにあった、母方の実家に遊びに行くのが常だったそうだ。 そこには祖父母、伯父夫婦、年下の従妹たちがいていつもあたたかく迎え入れてくれ、とても仲良くしていた。 残暑の初秋、夏祭りも終わった穏やかな夕暮れ時、ナースフリーさんは母方の実家の庭先で従妹たちとボール遊びに興じていた。鼻先にふわっと煙の匂いを感じてふと顔を上げると、幅2メートルほどの狭い道を一本はさんだ向かいの家の窓ガラスが割れ、大きな炎が噴き出した。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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