実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「背の高い女」(35分)
さなさんという女性の体験談。 今から14、5年前当時急激に増えたITベンチャー企業への就職はとても嬉しい出来事だった。勤め先は六本木にある五階建てのとあるお洒落なオフィスビルで、そこの三階にさなさんが働くオフィスがあった。 職場の雰囲気は良かったのだが、フロアの中央に位置していた女子トイレがどうしても気味悪く感じられたのだそうだ。理由は特にない。きれいだし明るいのだが、強いて言うなら洗面所の鏡が大きくて背後の様子が否が応にも映ることくらいだった。 そしてある深夜ついにその鏡越しに見てはならないモノを見てしまったことがきっかけして続々と怪異に見舞われるようになっていく。
「ミラーアイズ」(25分)
同じくさなさんの体験談である。 彼女が高校生の時、通っていた最寄りの高校は埼玉県は与野駅の近くにあった。年頃でダイエットをしようと、下校の時は与野駅から一つ二つ先の駅までわざわざ歩くようにしていた時の事。 その日も友人と二人でおしゃべりをしながら気が付けば二駅分は悠に歩き見慣れない商店街の交差点に差し掛かった。 小さな交差点で信号待ちをしていると、反対側に集まっている人の群れの中にひと際目を引く女性がいる。髪はボサボサ、服もボロボロ、薄汚れて裸足だ。女性というよりもまだ女の子といった感じだが異様な風体だった。 やがて信号が変わり横断し始めてすれ違ったときにはっきりと見てしまった。彼女の眼を。
「広島のホテル」(26分)
新谷さんという男性は広島のホテル滞在時に体験がある。 2019年のゴールデンウィークを利用して妻の実家がある広島に帰省した時の事だ。実家の都合で夜は広島市内でホテルを予約し、妻と次男の三人で宿泊することになったのだが、問題は妻と一緒のツインの部屋だった。 特別変わった様子でもつくりでもなかったから入室時には何の不安もなかったのだが、ベッドに横になり肘枕で何とはなしにテレビを見始めた時、目の端にナニかが見えた。 ナニかはユニットバスの扉の前に立っている。妻は横のベッドに入り早々に掛け布団を頭からかぶって寝てしまっているし、次男は別部屋だ。 ではそこに立っているのは……。
「霊柩車」(33分)
平山さんという女性は中学校一年生のお盆の出来事を鮮明に覚えている。 柳川にあった大きくて古い祖父母の家に法事で親戚一同が大勢集まっていた時のことだ。夕食の最中、ご先祖様はどのようにしてあの世から帰ってくるのだろうという話になった時、天国の扉が開いてそこから帰ってくる、中には霊柩車に乗って帰ってくることもあるという話を聞いていた時、ふと気配を感じて大きな土間に目を向けるとあろうことか、大きな霊柩車が音もなく屋内に入ってきたという。 もちろん現実の世界のそれではない。 やがて霊柩車は仏間に入っていくと霞のように消えてしまった。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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