市朗怪全集とは
実話系怪談のパイオニア、『新耳袋』シリーズの著者の一人が、語りで送る怪談全集!
1990年代に巻き起こったJホラー・ブームを牽引した実話怪談界の大御所が、満を持して登場する!!
全てが実話。この現代に現れた闇と異界の世界を聴け!!
内容紹介
出る部屋 (14分)
スナックで友人と飲んでいたOさんは、終電に乗り遅れて友人の部屋に泊めてもらうことになった。だがそのマンションは幽霊が出ると有名な場所だった。
友人にそれとなくそれを言うと否定せず「泊まれば分かるよ」などと言う。
そしてその夜、Oさんは初めて禍々しい心霊体験をする…。
美容室の客 (5分)
美容師のS子さん。ある日ボロボロの身なりをした中年女性が店にやって来た。当然、お客様としてサービスをしたのだが、そこに帰ってきた店長にはその女性が見えていないようで…。
琵琶湖の怪 (7分)
ブラックバス釣りのプロのある男性。とある日に、四駆で誰も踏み入らない穴場のスポットで釣りを始めた。最初はまったく掛からなかったのだが、その原因らしき者が姿を現した。まさしくそれは、ある妖怪の容姿をしていたのだ…。
ハーレー・ダビッドソン (7分)
損保保険会社に勤めるEさんによると、ドライブレコーダーに奇妙な現場の様子が映っていることがあるという。
Eさんが見たそれは、ハーレーダビットソンが事故を起こした現場の様子。
実にそれは、不可解かつ理解不能の映像で…。
ヤマハのスタジオ (7分)
高校時代、軽音楽部に所属していた女性。一年生の時、三重県のあるリゾート地で合宿をしたのだが、あるスタジオをわりあてられた先輩たちが嫌がったという。
理由を聞くと必ず霊現象が起きるスタジオなのだと…。
近所の踏切 (6分)
その男性の家は私鉄沿線。ある夜、スーツ姿の男が家の裏窓を開けて入ってこようとするのを必死で押しとどめるという夢を見た。
朝起きて、裏窓をみてみたが異常はない。ところが母親が奇妙なことを言いだした…。
櫛(くし) (13分)
Eさんは東北の豪農の出身だという。庭には立派な井戸があった。
彼が子供の頃のこと。学校からると見知らぬ仙人のような老人が井戸端に立っていた。
「わしはこの家の者や」と言って予言めいたことを言う。でもそんな人はこの家にはいない。そしてその予言が的中していき…。
老婆 (11分)
ずいぶん前の五島列島での話。Kさんの家は旧家で、旅館ではないが行きかう旅人の世話をしたり泊めたりしていたという。その中に老婆がいた。
わたり (3分)
Fさんが子供の頃、母と一緒に新幹線の車窓から妙なものを見たことがあるという。はるか遠くの山の頂上に立っていた人ががポーンと飛んで、隣の山の頂上に降りた。
これが繰り返される。なんだろうあれ、と見続けていると…。
血みどろの幽霊について (6分)
怪談では血みどろの幽霊が出る話もあるようだが、一万話以上実話系怪談を蒐集していてそんな話は滅多にない。これには原因がある。
ではなぜ、血みどろの幽霊が語られるのか。それらを考察する。しかし、血が出る怪談は無いわけではない。
傷 (12分)
ある町が経営する山の中腹の施設がある。もとは一軒家だったが町が買い取り安く貸し出している。ここに18人の大学生が集まり飲み会をした。
そして何人かは朝まで過ごしたのである。この時、何もしていないのに突然、ある男子の膝から血が流れ出た。怪我はない。ただその原因らしき怪談が地元にあるのを知る。
真っ赤な足跡 (10分)
ある人が、友人と東京郊外に一泊二日のゴルフ旅行をした。ところが旅館の部屋に入った途端、友人が眠いと言って寝てしまったのだ。
しかたなく一人でテレビを観ていたのだが、いつの間にか部屋にベットリと血の足跡が続いていた。自分の足も真っ赤だ。しかし傷はどこにもない。
ひざ (3分)
「傷」と言う話は『新耳袋』に書いた話だが、実はこの話を書くか書かまいか迷っていた。しかしその時、共著者の木原浩勝と電話で話していて、同時にある体験をしたのだ。
「傷」に書いた現象と同じ…。
一滴の血 (4分)
原宿で、あるブティックを経営していたOさん。場所のわりに客が入らない店だったという。ある日、そろそろ店を閉めて帰ろうと帳簿を広げると、ポタリと一滴の血が帳簿を汚した。鼻血かと思ったがそうではない。そこで上を見上げると…。
中山 市朗(なかやま いちろう) プロフィール
作家、怪異収集家
1982年、大阪芸術大学映像計画学科卒業。映画の助監督や黒澤明監督の『乱』のメイキングの演出などに携わる。
1990年、扶桑社から木原浩勝との共著で『新耳袋〜あなたの隣の怖い話』で作家デビュー。『新耳袋』はそれまでただ怪談で括られていたものから、実話だけにこだわり百物語を一冊の著書で実現化させた。
『新耳袋』は後にメディアファクトリーより全十夜のシリーズとなり復刊。『怪談新耳袋』として映画やドラマ、コミックとして展開。
Jホラーブームを作った作家や映画監督に大きな影響を与え、ブームをけん引することになる。
著書に『怪異異聞録・なまなりさん』『怪談実話系』『怪談狩り』シリーズなどがある。
怪談は語ることが重要と、ライブや怪談会、放送などでも積極的に怪談語りを行っている。その他の著書に『捜聖記』『聖徳太子・四天王寺の暗号』『聖徳太子の「未来記」とイルミナティ」など多数。
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