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内容紹介
樋口一葉作品の中でも最も奥行きのある小説。主人公お力の人物造型と内面描写の深さは、一葉自身の内面が表出されたものであり、社会的には救われない人間の心の闇をえぐりだす。 あらすじ
新開地の銘酒屋「菊の井」の一枚看板である酌婦・お力(りき)は若くて美しいが、なにやら内面に志を秘めている。お力はかつて客の源七(げんしち)と懇意にしていたが、お力に入れあげて今や落ちぶれてしまった源七は、彼女に未練を残しながらも、妻のお初(はつ)、長男の太吉(たきち)と貧乏長屋で暮らしている。 【作者】樋口一葉(ひぐち・いちよう)
1872年(明治5年)〜1896年(明治29年)。小説家。東京生まれ。本名、樋口奈津。父や兄を早くに亡くし、女戸主として生活に苦しみながらも筆一本で生計をたてようと志し、24年という短い生涯の中で、小説22作品と多大な日記などを書き残す。歌塾「萩の舎(はぎのや)」で中島歌子に和歌や古典文学を学び、朝日新聞の小説記者である半井桃水に小説の指導を受ける。一時、生活苦のため小説をあきらめ雑貨店を営むが、のちにその経験を活かし「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの秀作を次々に発表し、文壇から絶賛される。しかし、その絶頂期に肺結核のため、24歳で夭逝する。一葉の死後、妹の邦子(くに・国子)が一葉の草稿や日記を保存・整理し、その出版に尽力した。 |
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