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■ もくじ
第1章 「話し上手」を勘違いしていませんか
第2章 話し下手には原因がある。でも解決策もある
第3章 「話し上手」とは、実は「聞かれ上手」のことだった
第4章 まずマスターしたい「話し上手」の基本技
第5章 ビジネス・シーン別 もっとも効果を発揮する話し方
第6章 ビジネス・アクション別 もっとも効果を発揮する話し方
第7章 性格別・話し方のコツ
――相手の性格を見抜くコツ、話づらい人と話すコツ
第8章 人数別・話し方のコツ
――多人数で話し合うときの心がまえ
■「第1章 『話し上手』を勘違いしていませんか」より
★ 目標を達成し効果を上げてこそ「話し上手」― 法則 1 ★
●話し上手の「物差し」
話し上手とは、目的を達成し効果を上げる話ができる人のことを言う。
セールスマンのなかには、立て板に水を流したように1人で
しゃべりまくっている人がいる。まったく反対に、
商品の説明もロクにできない人もいる。
これは両者とも話し上手とは言えない。では、話し上手とはどのような人か。
人前でよどみなく自分の考えを話している、初対面の人と臆せず話す、
熱っぽく人を説得する、テキパキと部下に指示を与えている。このような光景を見ると
「この人は話し上手だな」と思う。たしかに話し上手には違いないが、
話し上手の判断基準は、もう一歩踏み込み効果を上げることができたかどうかを
最終的な物差しにしたい。
人前での話はもとより、職場での会話が上手になれば、人生の成功と幸せを
築くための大きな鍵を手に入れたことになる。人間は誰でも努力次第で
話し上手になれる。
●効果を上げることが難しい
人間が幸せな人生を築くためにもっとも大切なことは何か。
それは次の4つに集約される。
1. 健康であること(すべての基本は健康にあり)
2. 仕事のできる人間になること(他人以上に仕事の能力を身につける)
3. 表現力を身につけること(周囲が自分の存在価値を正しく評価する)
4. よい人間関係をつくること(話を聞いてもらえるかどうかは人間関係次第)
1.と2.については誰でも意識して努力をする。
しかし、意外と忘れられがちなのが3.と4.である。
これが話し方の分野であり、大切な問題なのだ。
自分の考えを上手に言葉で表現できたと思っても、
実は、その話は全体の60%しか表現できておらず、
聞き手がそれを聞いて理解するのは、さらにその50%と言われている。
この数字から言えることは、自分の考えていることを上手に表現できたとしても
相手に伝わるものは全体の30%にすぎないということだ。
伝えたいことを言葉で表現すれば相手は理解してくれる
――そう思ったら大間違いである。言葉で表現し効果を上げることは
非常に難しいことなのだ。
★「話し上手」でなければ「仕事上手」にはなりえない ― 法則 2 ★
●「仕事」とは、すべて「話すこと」
あなたの1日の職場生活を考えてみてほしい。
朝、職場に入って上司や同僚とあいさつをし会話を交わす、朝礼を行う、
得意先と電話で打ち合せをする、仕入先に発注をする、接客をし仕事の説明をする、
会議で意見交換を行う、上司に報告をする、部下を指導する…etc。
「仕事」とは、すべて「話をすること」なのだ。1日中まったく人と言葉を
交わさないで果たして仕事が務まるだろうか。どんなに仕事の能力があっても
業績を上げることはまず無理であろう。
電話1本まともにかけることができないのだから。
職場でテキパキ行動し能率的な仕事をしている人を観察してみてほしい。
実に話し方が上手で、ムダのない話をしていることに気がつくはずである。
短い言葉で効果的に自分の考えを伝える力を身につけているのである。
●英会話が流行りだが、まず日本語力を高めることだ
アメリカのビジネス界では「管理職になったら『話し方教室』に勉強に行け」
と言われる。これは、仕事の能率を上げるためには、話の上手、
下手がいかに大きく影響するかということを物語っている。
仕事上行われる話は、人前でのスピーチにしても、業務会話にしても、
すべてルールがあり、このルールを身につけた人は必ず話し上手と言われるようになる。
プレゼンにしても、報告にしても、説明にしても、ルールに沿った
表現方法をとるから効果を上げることができるのである。
アメリカでは小学校から大学に至るまで、コミュニケーションを含めた話し方の
勉強がカリキュラムに組み込まれている。ところが日本人は、小学校以来「読み」
「書き」の勉強しかしていない。社会人になっても「話す」「聞く」の<勉強は
まったくしようとしない。その結果、職場では非能率的な話をする人が多くなってしまうのだ。
仕事はいかに時間を効率よく使うかが問題である。
時間のムダ使いは無能の証明であり、会社にも無形の損害を与えていることになる。
英語の勉強を志す人は多いが、本当は英語の表現力を高めるために、
まず日本語の表現力を高めることが先決問題なのである。
★ 効果が上がる話し方にはコツがある ― 法則 3 ★
●「目的」をつかんで話す
会議で提案をする。自らの立場を有利にするために提案理由をまくしたてる。
しかし、どんなに必死に発言しても、その意見が採択されないかぎり効果は上がらない。
反対にボソボソと発言した人の意見が通る場合もある。
明らかにこちらのほうが上手な話し方だったと言える。
部下の指導、接客など、仕事上何を話すにしても目的が達せられなければ
話した意味がない。職場での話、つまり業務会話には必ず何らかの目的を伴っている。
上手な話し方を身につけるためには、話の目的、つまり
「いま、自分は何のために話をしているのか」をよく知ることが大切である。
その次に、その目的を達成させるためにはどのような組み立てで話したらよいか、が出てくる。
話の効果を上げる第一条件は「目的をつかむ」ということである。
●話の持つ4大目的とは何か
職場で交わす話には大別して次の4つの目的があることを知ってほしい。
1. 説明
2. 説得
3. 人間関係を深める
4. 楽しみや感動を与える
1番目 の「説明」は相手に「なるほど」とわからせることが目的である。
報告はここに入る。
2番目 の「説得」は相手に自分の思っている通りに行動してもらうことを
目的とする。依頼、忠告、叱りなどもこの分野に入る。
3番目 の「人間関係を深める」は日常会話などの分野で相手との親しみを
深めることを目的とする。言い換えれば、人に好かれることが目的である。
4番目 の「楽しみや感動を与える」は主に人前での話になるが、聞き手を
楽しませたり感動を与えることが目的だ。結婚披露宴でのスピーチなどがこれに当たる。
職場ではこの中のいずれかを目的に話していることになる。
当然、2つ以上の目的を持って話す場合もある。まずは、この目的を
しっかりとつかむことが大切である。
●著者紹介
金井英之(かない・ひでゆき)
トーク&コミュニケーションアカデミー学院長。1935年、東京都世田谷区出身。日本大学経済学部卒業。
大学時代より雄弁会で活躍し、特に表現力と人間関係の研究を行う。現在、講師・アシスタントなど40数名を擁し、
都内や川崎など7ヶ所で「話し方教室」を開設するかたわら、各企業・団体において講演会や社員教育などで幅広く活躍している。
著書に「心に響く知的会話」(AA出版)、「人前でビクビクオドオドせずに話せる本」「人前で3分、あがらずに話せる本」(すばる舎)、「3分間スピーチのコツが面白いほど身につく本」(中経出版)「どんな場面でも、自信をもって話せる本: 説明、報告、交渉からプレゼン、会議まで……あらゆるシーンですぐ使える!」(三笠書房)「どんな人ともあとで落ち込まず話せる本」「どんな人とも会話がとまらず話せる本」(あさ出版)などがある。
※本商品は「「上手な話し方」が自然と身につく45の法則」(こう書房刊 金井英之著 ISBN:4-7696-0771-7 208頁 1,260円(税込))をオーディオ化したものです。
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