上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
吉原奇聞小夜衣草紙 その五「小夜衣の自害」(32分)
浜田屋源兵衛という材木商。大金持ちでございます。伜が源次郎と申しまして、ふとしたことで吉原へ足を運び、旭丸屋の小夜衣という花魁と深間になりました。末は夫婦という起請文を取り交わします。ところが、亀戸の梅屋敷へ梅見に参りました源次郎が、見初めた女というのが、これが松平出羽守の留守居役、大野専左衛門の娘、お八重と申します。縁談の申し込みをすると、「浜田屋は大金持ちじゃ。娘をやっても良い」
とんとん拍子にこの婚礼の話がまとまりましたが、小夜衣と起請文の取り交わしているという。「そんなものが後から出てきたら困る。今のうちに取り戻しておこう」
というので、番頭の六兵衛と、治兵衛を、旭丸屋にやりました。金を持って参りまして、起請文を取り戻すことになった。ところが小夜衣は源次郎を心底愛しておりまして……。
吉原奇聞小夜衣草紙 その六「桔梗屋文助」(29分)
桔梗屋文助、家に帰ってきたが、なんとなく不気味だ。付け景気で陽気にしようと思うが、付け景気はどうもよくない。そのうちに、二階で寝ていたお針の婆さんと半玉のおちか、下女のおよし、三人が下へ降りてくる。表の戸をドンドン、ドンドンと叩くものがある……。
吉原奇聞小夜衣草紙 その七「雨夜の駕籠」(31分)
嵐の中、深川黒江町に戻るはずの駕籠が途中で止まってしまった。ざんばら髪を振り乱した女の亡霊が出て、どうしても前に進むことができない。桔梗屋に戻った番頭六兵衛と治兵衛。翌日は快晴となり、ようやく浜田屋へ戻ることができた。事の顛末を主人に報告すると……。
吉原奇聞小夜衣草紙 その八「源次郎の婚礼」(26分)
婚礼の晩。どうやら小夜衣の亡霊がやってきているようだ。六兵衛と治兵衛は気になる。女中にくれぐれも伝えたのは、「すれ違う時に名前を名乗っておくれ。黙って近付いてくると、気絶をしてしまうかもわからん。そこにいるのは誰じゃ? ああ、お菊どんか。お菊どん、今夜に限っては、悪い名前じゃなあ」
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程修了。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
2021年、『旭堂南湖講談全集』(レベル)発売。
2021年、滋賀県文化奨励賞受賞。
2023年、『滋賀怪談 近江奇譚』(竹書房怪談文庫)発売。
2024年、『上方講談という愉しみ』(寿郎社)発売。
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
X https://x.com/nanko_kyokudou
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