上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
吉原奇聞小夜衣草紙 その一「源次郎と小夜衣花魁」(33分)
天明の頃、深川黒江町に浜田屋源兵衛という材木商。これがふとしたことから、田沼意次のお気に入りとなった。浜田屋の材木もよく売れる。
浜田屋には一人息子があって、源次郎という。日頃から部屋へこもって学問ばかりしているから、体も弱ってくる。親も心配して、近所の友達に誘われて、吉原へでも行って、少しぐらい遊びを覚えたらいいのに、と思っている。すると、近所のご隠居が亡くなって、そのお葬式が浅草である。源次郎は、その帰りに初めて吉原へ足を踏み入れることになった。
吉原奇聞小夜衣草紙 その二「梅屋敷の出会い」(32分)
源次郎は番頭六兵衛に誘われて、亀戸の梅屋敷へ梅見にいくことになった。そこで出会ったのが絶世の美人。松平出羽守のお留守居役、大野専左衛門の娘で、お八重という。 一目惚れ、恋煩い。親類の富田屋が間に入りまして、縁談の申し込み。大野専左衛門も、「浜田屋は町人であるが、田沼公のお気に入り。娘をやっても良い」という返事。トントン拍子に話がまとまりかけたが、困ったことが一つある。
吉原奇聞小夜衣草紙 その三「起請文」(28分)
昔は、女郎の千枚起請と言って、花魁は誰にでも末は夫婦という約束をした起請文を取り交わした。源次郎は、小夜衣花魁と起請文を取り交わしている。お八重と結婚した後で、夫婦約束をした起請文を持ち出されては面倒なことになる。小夜衣にお金を渡して、起請文を返してもらうことになった。
吉原奇聞小夜衣草紙 その四「小夜衣の覚悟」(32分)
番頭六兵衛が、小夜衣に起請文を返すようにいうと、小夜衣は、涙ながらに左の腕につけてある銀の腕守り。蝶番を外して、髪にさしていた銀のかんざしを抜き取って、そのかんざしを、腕守りに突っ込んでクルクルと回し、中から起請文を取り出した。千枚起請とは言いながら、小夜衣が持っていたのは、源次郎と交わした起請文だけ。真の愛であった。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程修了。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
2021年、『旭堂南湖講談全集』(レベル)発売。
2021年、滋賀県文化奨励賞受賞。
2023年、『滋賀怪談 近江奇譚』(竹書房怪談文庫)発売。
2024年、『上方講談という愉しみ』(寿郎社)発売。
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
X https://x.com/nanko_kyokudou
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