上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
牡丹燈籠「亡霊の恨み」(25分)
亡霊の傀儡となった伴三夫婦。亡霊の手引きによって、首尾よく飯島の屋敷より百両の金を盗み出した。お米が、「それでは伴三さん、きっとお嬢さまと新三郎さまが結ばれるように、お札をはがしておいて下さいよ」
「へい、承知しやした。何、大丈夫。お嬢さまが家の中へ入って、萩原の旦那と添寝ができるよう、きっと取りはからいますから」
「それではお願い申します」
二人の亡霊はそのままの夜の闇に消えてゆく。あとには牡丹燈籠がユラリユラリ。伴三は、身震いをして、「やっぱり気味が悪いや。いくら慣れたといっても、妙に体が震えやがる」谷中清水町の家に戻ってきた。女房のお峰も寝やらず待っている。さあ、どうなる…。
牡丹燈記(30分)
『牡丹燈籠』には原作がある。中国の明代の作で、剪灯新話の中の『牡丹燈記』。
日本の『牡丹燈籠』には、じめっとした怖さがある。一方、中国の『牡丹燈記』はどこかカラリとしている。
玄妙観の魏法師から護符をもらった喬生が、これを家に貼ると、麗卿、金蓮の亡霊はぴったりと来なくなる。それから一月ばかりして恐怖もやや柔らぎ、ある日、友人の家へ遊びに行った帰り、夕方になっているのに驚いて家路についたが、いつとはなしに 麗卿の葬ってある湖心寺の近くへさまよう。すると、
「旦那さま」
と 金蓮が顔を出して、
「お嬢さまがお待ち兼ねでございます」
と無理やり手を引っ張って湖心寺へ連れ込む。そこには麗卿が待っていて、
「薄情者」
と恨みを述べる…。
土蜘蛛退治(25分)
寛永時代、渋川流の柔術の達人、渋川伴五郎、父の蟠龍軒を村上六大夫に闇討ちにされ、仇を探して、諸国修行しております。三年目に日向の延岡へ乗込んで来ました。
日向には随分いい所があります。霧島山高千穂峰という山の頂きに、「天の逆鉾」がある。その他、悪七兵衛景清が流された場所もある。伴五郎、色々旧跡があるからそれを見ようと思って、霧島山の麓へやって来たが、どこから登るのか道が分らない。そこで、近くにいたお百姓に聞いてみると、
「山には怪物がいるから登るな」
と言う…。
湖上の笛(27分)
時は天文年間、近江の国観音寺の城下。琵琶湖に近きところ。浄応という老人が、今年十八になる一人娘のおさちと二、三人の奉公人を使って何不自由なく毎日を送っておりました。娘のおさちは田舎には稀な美人。器量がいいというだけでなく、生まれついての利口者、その上、暇と金に飽かして仕込みます。茶の湯、生け花、和歌敷島の道、ことに横笛は人に優れています。
ある日のこと、浄応の耳へ、チリーンチリーンと聞こえてくる小さな鈴の音。
「はてな、どこぞの猫が迷ってきたのかな」
「お父様」
「さちか。急に声をかけたりしてびっくりするじゃないか」
「お父様はお目がお悪うございましょ。ですからこの鈴の音で私が近くにいるかいないか。お分かりになるだろうと思って、つけて参りました」
「なるほど、これはいい考えじゃ。もう一度鳴らしてくれ」
チリーンチリーンと鈴の音。目の悪い父親の身を思い、女帯へ鈴を付けるこの優しい娘。婿を迎えることになりました。さあ、どうなる…。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程卒業。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
OKOWA胎動出場
怪談グランプリ2019出場
怪談最恐戦2019ファイナル出場
東大阪てのひら怪談優秀賞受賞
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
Twitter http://twitter.com/nanko_kyokudou
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