上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
牡丹燈籠「お露新三郎の出会い」(26分)
怪談も数多くあるが、幽霊が駒下駄をはいて、カラン、コロンと音を立てて歩いてくるのは、この牡丹燈籠のお露ぐらいのもので、しかも美人の幽霊が、恋しい男の家へ夜な夜な押しかけて夫婦の交わりを結ぶのであるから、はなはだ色っぽい。
幽霊はみな足がない。その間に下駄をはかせたのは作者・三遊亭円朝のえらいところです。
もっともこの原作は中国の明代の作で、剪灯新話の中の牡丹灯記、ここでも幽霊が靴音を立てる。
牡丹燈籠「深夜の駒下駄」(29分)
谷中清水町に住む浪人者で萩原新三郎、浪人といっても土地もあれば貸家もあるから、一人で裕福にくらしている。
ヤブ医者の山本志丈につれられて梅の古木を見に立寄ったのが、飯島平左衛門の一人娘お露の家。お互いに心中深く契りをかわした。
その後会う機会もなく、六月にはいったある日、新三郎は店子の伴三に引っぱり出されて横川へ釣りに行った。ここはお露の家に近い。
舟の中で酒を飲んで、そのうたたねの夢の中え、新三郎はお露の家を訪れ、お露と契りを結ぶ。やがてお露が、「私だと思って持っていて下さい」と手に握らせた香箱。
夢から覚めた新三郎が仰天したのは、自分の手に握りしめているのは夢でお露がくれた香箱だった。
牡丹燈籠「恋の妄念」(28分)
真夜中頃になると、きまって谷中清水町の萩原新三郎の家を訪れるお露と女中のお米の二人。
お露は五百石取りの旗本飯島平左衛門の娘、新三郎と互いに思い染め、七月十三日のお盆の夜、新三郎の家で初めて、契りを交わして以来、毎夜のように通ってくる。
不思議なことに、この優しい体のお露が、疲れを知らずに求め続ける。
やがて、新三郎はやせ衰え、今は骨と皮ばかりとなり、目は落ちくぼんで黒いくまができ、ぐったりとなって生気もなくなってしまった。
しかし夜になるともりもりとまた元気が出てお露を迎える。
牡丹燈籠「伴蔵お峰」(27分)
夜な夜な萩原新三郎の家を訪れる美しいお露の亡霊。
新三郎もはじめのうちは、現世の人間と信じ、固い契りを結んでいたが、人相見 白翁堂勇斎の眼力は、お露が幽霊であることを見破り、新三郎は新幡随院の住職に救いを求めた。
住職も一目でそれと察し、雨宝陀羅尼経の経文、尊いお礼、海音如来の金無垢 の仏像の三つを貸しあたえた。
その夜、新三郎が雨戸を閉め、表にはお礼を張り、部屋の中に蚊帳をつって、その中に小机を置き、行灯の火のもとで一心不乱に雨宝陀羅尼経を唱えていると…。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程卒業。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
OKOWA胎動出場
怪談グランプリ2019出場
怪談最恐戦2019ファイナル出場
東大阪てのひら怪談優秀賞受賞
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
Twitter http://twitter.com/nanko_kyokudou
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