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あらすじ
【第一編】
多助は武士の家に生まれながら、父親が浪人をしている為、山暮らしのそま(きこり)の子として毎日を過ごしている。これから波乱万丈の人生を送ることになる多助は、現在八歳である。父の名は塩原角右衛門、母の名はお清(せい)。
物語は角右衛門の家来岸田右内が、商人に身を変え、主人を尋ねて旅をしているところから始まる。日光の山を越える途中、偶然山の中で感激の対面をすることができ、浪人生活をしている主人角右衛門を見かねて、右内はもう一度我が主人を江戸へ送り出すことを約束して別れる。その帰り道、途中で立ち寄った茶店で、お茶を飲んでいる百姓が大金を持っているのを知り、あとをつけて借金を申し込む。しかしあっさりと断られる。それならばと強引な手段に出ようとするところを、ちょうど狩に出ていた角右衛門が、山賊が旅人を襲っているのだと思い、鉄砲の狙いを定め・・。
【第二編】
家来右内とは知らず、角右衛門は間違って撃ったことを悔い、百姓を伴って、右内の亡骸を家へ運ぶ。名乗り合うと百姓も塩原角右衛門。事情を打ち明けると、百姓角右衛門は、多助を貰って、そのかわりに五十両を置いていくという。父角右衛門は、悲しくも我が子と袂を分かつ決心をする。別れ際、街道で百姓角右衛門が茶店の親父から買った青馬が逃げ出し、父角右衛門がこれを鎮め、多助と青馬は下新田まで一緒に旅をする。
話替わって、右内の女房お亀は、亭主の帰りがあまりに遅いので待ちきれず、娘を連れて旅に出る。途中、親切な母子かそれともお供か?二人連れに出会い、楽しく旅をするが、自分だけはぐれてしまい、馬子にも嫌がらせをされ、偶然通りがかった百姓角右衛門に助けられる。その後お亀は、娘がかどわかされたことを知り、また、角右衛門はお亀が右内の女房と知り、独りぼっちになったお亀の面倒をみる決心をする。
【第三編】
お亀を連れ帰った角右衛門は機会をみて、右内の墓参りに連れて行く。右内の死を知らされていなかったお亀は初めて夫が死に至った事情を知る。
話替わって、多助の実父角右衛門は、念願の江戸へ旅立つ。が、その途中置き引きに遭い、これが後々多助に関わる護摩の灰、小平とその一家で、小平は角右衛門に見破られて捕まると、なんだかだと言い訳をして一家の住まいする家まで連れて行き、家族ぐるみで角右衛門をだます。角右衛門は漸く江戸に着き、五十両を基に身支度を整え、戸田候への奉公を許される。
【第四編】
お亀が下新田に来て一年半、角右衛門の女房が他界する。角右衛門は人の薦めでお亀を後妻にし、それから十二年が経過する。宝暦十年、角右衛門江戸見物の折、大火事に見舞われ、どさくさの中で家族からはぐれて、身を投げようとする娘を助ける。仔細を聞くと、どうもお亀の娘お栄。 さっそく連れて帰りお亀に対面をさせる。感激の再会もつかの間、そこへお栄を探して護摩の灰一家が訪ねてくる。
【第五編】
護摩の灰一家と角右衛門が、お栄を挟んで対決するところが聴きどころ。結局小平の母お覚婆のかどわかしがばれて、渋々引き下がる。
やがて角右衛門は病の床につき、この世とお別れになるとき、分家太左衛門を呼び、今までのいきさつを話して、多助とお栄を夫婦にさせる。角右衛門が他界し、夫婦で墓参りに出かけた帰り道、またまたお栄を奪おうとする小平と仁助が現れる。多助らはちょうど通りがかった原丹治、丹三郎父子に助けられる。
【六編】
多助親子が丹治親子に助けられたのが縁となり、丹治とお亀は隠れた仲となり、丹三郎とお栄もいい仲に。そんな折、分家太左衛門の娘お作から多助への恋文がお亀の手に渡り、これを使って多助にお栄との離縁を迫る。多助にはまったく身に覚えのないことであり、それを責められてもひたすら耐えて謝るが、お亀は攻撃の手をゆるめない。太左衛門が間に割って入り、逆にお栄と丹三郎の密通をほのめかし、反撃をする。お亀は最後の手段と、多助を待ち伏せして斬り殺せと丹治に耳打ちする。そして・・・。
【第七編】
丹治は多助を待ち伏せして斬り殺し・・・たと思ったら、それは多助の友人、円次郎だった。その日青(馬の名)を曳いていたのは円次郎だったのである。
多助は何も知らずに家に帰る。しくじったことを知ったお亀は、その後も何かと小言を言って追い出そうとする。
多助に忠義の奉公人五八が間に入ってかばうが、やがて多助はお亀の仕打ちに耐えかね、家を出る決心をする。
【第八編】
多助は青を曳いて、分家の太左衛門のところへ行って暇(いとま)乞いし、江戸に青を連れて行く訳にもいかず、「物見の松」に繋いで、泣く泣く別れを告げる。後に有名な「青との別れの場である。
旅の途中、またしても道連れの小平、継ぎ立ての仁助に出会い、一難去ってまた一難。多助の命は・・・・。
【第九編】
多助が行方知れずになった塩原の家では、これ幸いと、お亀の策略でお栄と丹三郎の婚礼が行われようとする。事態を知った奉公人五八の知らせで、分家太左衛門が血相変えて乗り込んでくる。
話替わって、多助は小平に身ぐるみ剥がされ、利根川の流れの中に蹴落とされる。身も心もぼろぼろになりながらも、ようやく江戸に着き、実の父を訪ねたが父は13年前に国詰めとなり不在。たった一つの命の綱も無くし、多助は昌平橋から身を投げようと・・・。
【第十編】
塩原の家では太左衛門とお亀の押し問答の末、我慢ができなくなった丹三郎がついに刀を抜き、青を巻き込んでの殺し合いに発展。婚礼の場は一転修羅場となる。
話替わって、多助が身を投げようとするところを通りがかった炭問屋山口屋善右衛門に助けられる。それが縁で多助は山口屋で奉公することとなり、忠義の日々を過ごす。
ある日のこと、主人の言いつけで、戸田様の屋敷へ炭を届けた折、荷札に実の父の名を見つけ・・・・。
【第十一編】
炭を届けて、思いがけず母子の対面となる。しかし喜びもつかの間、奥で聞いていた実父角右衛門は、母お清の手を引いて障子を閉めてしまう。訳が分からない多助は、お顔を見たいと懇願するが聞き入れられず、泣く泣く屋敷を後にする。
話替わって、塩原の家では丹三郎とお栄の婚礼の席が修羅場となり、二人とも青に噛み殺される。生き残った丹治、お亀は藁小屋に火を掛け、命からがら二人で逐電する。
山中で身隠れしているうちにお亀は懐妊し、親子三人で江戸へ向かう。その途中宿を借りると、その宿の主人が何と、三年前下新田に強請(ゆすり)にきたお覚婆だった。
【第十二編】
丹治とお亀の宿主になったお覚婆は改心したと見せかけ、二人を安心させて懐のものを狙おうとする。お覚婆一家は寝込みを襲うが気づかれ、切りあいとなる。最後に生き残った小平はついに金を奪い、お亀と乳飲み子を川の中へ蹴り落とす。
話替わって、多助は誠心誠意奉公し、物を粗末にしないよう、いろいろなものを拾い集め、再生し貯めていく。中でも草履は三千足に達する量となる。
【第十三編】
宝暦十二年十二月、山口屋の荷主吉田八右衛門は親の代理で山口屋に向かう途中、道連れの小平の口車に乗せられ、痺れ薬を飲まされて包みと脇差しを盗まれる。
小平は八右衛門になりすまし、八十両騙し取ろうと山口屋に乗り込む。・・・が、山口屋に奉公する多助に見破られてしまう。押し問答しているところへ、本物の八右衛門が口に泡を溜めてすっ飛んで来る。八右衛門はしびれた口で訴え、一方小平はいよいよ開き直り、店の中は騒然となる。
【第十四編】
小平が山口屋の店先で居座っているところへ主人善右衛門が帰宅する。二十両で追い返そうとするが、小平は言うことを聞かない。多助はこんこんと小平を説得し、ついに小平は何も取らずに帰っていく。これを見ていた八右衛門は大いに感心し、多助が店を開いた時には千両の荷を出すと約束をする。
奉公を続け明和二年となり、多助は炭の届け先、四谷辺りの道悪を直すべく奔走し、尽力を尽くす。
【第十五編】
多助は主人に二十両借りて店を出てその道すがら、またしても小平に待ち伏せされる。もみ合いになっているところを一人の侍に助けられる。この人こそ多助が夢にまで見た実父角右衛門だった。
それから十一年の月日が流れ、多助は独立して粉炭を売る小さな店を本所相生町に出店する。粉炭を売るというアイデア商売は大いに当たり、毎日忙しい日が続く。
ある日、いつものように藤野屋の裏手のよしず張りで休んでいると、目の見えない女乞食と子供が・・・。
【第十六編】
多助は思いがけず、下新田にいた頃いじめを受けた義理の母お亀と再会する。お亀は涙ながらに事の経緯を語り、多助に許しを請い願う。多助はすべてを水に流し、親子共々面倒をみることを約束する。
それを見ていた藤野屋杢左衛門の娘お花は、以前から好意を持っていた多助に、ますます恋情を深めていく。それを察した杢左衛門もあの人ならと、多助とは商売仲間の樽屋久八を屋敷へ呼んで、恋の橋渡しを願い出る。
【第十七編】
久八は恋の橋渡しを二つ返事で承諾し、飛んで帰り、多助に報告をするが、多助は身分の違いを理由にあっさり断ってしまう。
そこで杢左衛門は、お花を久八に養子にやることで多助の心を開かせ、多助はそれならばとお花を嫁にすることを決意する。
多助はさっそく山口屋に許しを請い、その足で実父角右衛門にも報告に走る。
【第十八編】
多助は実父角右衛門と母お清(せい)に、胸を張って対面を果たし、あたたかい涙の中で、親子の情愛を確認し婚礼の報告をする。
いよいよ婚礼の日。三々九度の盃を交わそうとしたとき、飛駒村の吉田八右衛門が、千両の炭を積んで、小平の一件で多助と交わした約束を果たしにやってくる。
これより多助とお花は仲睦まじく家業に精を出し、本所に大きな身代を築き上げるのである。―めでたし、めでたし。―
三遊亭円朝(さんゆうてい えんちょう)
江戸から明治への転換期にあって、伝統的な話芸に新たな可能性を開いた落語家。本名は出淵次郎吉(いずぶちじろきち)。二代三遊亭圓生門下の音曲師、橘屋圓太郎(出淵長藏)の子として江戸湯島に生まれ、7歳の時、子圓太を名乗って見よう見まねの芸で高座にあがる。後にあらためて、父の師の圓生に入門。母と義兄の反対にあっていったんは落語を離れ、商家に奉公し、転じて歌川国芳のもとで画家の修行を積むなどしたが、後に芸界に復帰。17歳で芸名を圓朝に改め、真打ちとなる。まずは派手な衣装や道具を使い、歌舞伎の雰囲気を盛り込んだ芝居噺で人気を博すが、援助出演を乞うた師匠に準備していた演目を先にかける仕打ちを受けたのを機に、「人のする話は決してなすまじ」と心に決める。以降、自作自演の怪談噺や、取材にもとづいた実録人情噺で独自の境地を開き、海外文学作品の翻案にも取り組んだ。生まれて間もない日本語速記術によって、圓朝の噺は速記本に仕立てられ、新聞に連載されるなどして人気を博す。これが二葉亭四迷らに影響を与え、文芸における言文一致の台頭を促した。大看板となった圓朝は、朝野の名士の知遇を得、禅を通じて山岡鉄舟に師事した。
出典:筑摩書房の明治文学全集より
原作:三遊亭円朝
口演:ふたむら幸則
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[オーディオブック] 塩原多助一代記-第十六・十七・十八編-
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