解説
李徴は自分の才を恃むあまり虎になった…狂ってもなお執着を捨てきれず苦しむ詩人の魂。中島敦の名作を重厚な朗読で!
「隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃む所頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった」……まさに名文、格調高い漢文調の文体が、才能に溢れながら強すぎる自尊心に自滅していった詩人の苦悩と悲哀を極限まで浮かび上がらせる。清朝の説話集「唐人説薈」の「人虎伝」を下敷きとした中島敦の名作。演出=水城雄。
【演出・朗読者について】
70代の朗読家・網野隆の名調子が格調高い文体にぴったりあって、実に味わい深い作品に仕上がりました。漢詩の力強さ、詩人の哀切な嘆き……いずれも聞く人の心に強く訴えかけ、聞き終えたあとの余韻にいつまでも浸っていたい、永久保存版です。 (C)アイ文庫
「ことのは出版オーディオブック作品一覧はhttp://www.kotonoha.co.jpにて」
著者プロフィール
中島 敦(なかじま あつし)
1909〜1942
1909(明治42)年5月5日、東京市四谷区箪笥町(現東京都新宿区三栄町)で漢文教師、中島田人の長男として生まれる。 東京帝国大学国文学科を卒業後私立横浜高等女学校に赴任、国語と英語を教えた。1941年には教職を辞し、パラオ南洋庁へ書記として赴任。1942(昭和17)年12月4日、気管支喘息により33歳で死去。漢文調の格調高い文体とユーモア溢れる語り口で独特の世界を作る。代表作に「山月記」「李陵」「名人伝」他。
この商品を買ったお客様はこちらも一緒に購入しています
高瀬舟[著]森鴎外
500円 (税込)