解説
大坂はもはや救えまい。せめて豊臣の血筋を残さねば。・・・安全なのは・・・徳川の血族のひとりとして隠すこと―――著者自ら忍法帖の代表作として推した傑作中の傑作!
大坂城落城に際して、真田幸村があたえた使命。
秀頼の子種を胎にたたかう女忍者たち。
彼女らの捨て身の覚悟と妖艶さに、さしもの伊賀忍の精鋭たちも翻弄される。
豊臣と徳川。千姫と家康。信濃忍法と伊賀忍法。その凄絶にして淫靡な戦い。関が原の大戦で勝利をおさめたというのに徳川家は裏も表ももう大混乱である。
歴史上の出来事とくノ一たちの戦いが巧妙に織りあわせれているため、あたかも歴史の裏で実際にあったことのような錯覚を受ける。・・・錯覚?・・・・・・これが本当に起きた話ではないと誰が断言できるだろうか・・・・・・?
蛇足ながら、本作はそのエロティックさでも知られているが、女性人気も高い。出産と仕事とを一手こなす自分たちに重なるのかもしれない。
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著者プロフィール
山田 風太郎(やまだ ふうたろう)
1922〜2001
兵庫県養父郡関宮町の医家に生まれる。1949年、『眼中の悪魔』『虚像淫楽』で第2回探偵作家クラブ賞を受賞。翌年、東京医科大学卒業。その後『甲賀忍法帖』を初めとする“風太郎忍法”を生みだし、忍法ブームをまきおこした。1997年菊池寛賞受賞。代表作に『くノ一忍法帖』『戦中派不戦日記』『八犬伝』など。2001年7月逝去。