金坊は見ていた!
【あらすじ】
たまの休みでのんびりしたい父親、うるさくつきまとう息子の金坊を、外に遊びに行かせようとします。いうことを聞くかわりに小遣いをくれとねだる金坊ですが、父親は承知しません。金坊は「……いいよ。“おとっつぁんの留守によそのおじさんがおっかさんのところに来たことをおとっつぁんに言いつけちゃうから”といえば、おっかさんが小遣いをくれるんだ」と聞こえよがしに呟きます。聞き捨てならない父親は十円を出して、金坊から詳しく聞き出そうとしますが、たった十円では満足できない金坊は肝心なところで話しを切って、追加料金を要求します。
【聴きどころ】
大人顔負けの悪知恵の働く金坊。落語に登場する子供は「純真で可愛い」というステレオタイプはあまり出てきません。この噺でも子供らしからぬきわどい話をして親を翻弄する場面が笑いを誘います。朝也さんも、憎たらしいけれど可愛らしくもある金坊を元気よく描き出し、ところどころにクスグリを入れて楽しませてくれます。
【もうひと言】
題名は、真田幸村の紋が永楽通宝を六枚並べたものであったことに引っかけたサゲに関係しています。真田幸村は、真田十勇士を従えて徳川に挑む天才軍師として、講談や小説などで広く知られた安土桃山の武将。上方での題名は「六文銭」。
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