若旦那、リサイクルに挑戦
【あらすじ】
ある大家(たいけ)の若旦那、遊びが過ぎて勘当され、出入りの職人の家に居候しています。毎日何もせずぶらぶらしているので「紙屑屋」に奉公するように勧められます。紙屑屋とは方々から集めた紙屑をより分ける商売。さっそく始めてみますが単純作業で面白くありません。「…若旦那、変わり果てたるその姿!」と芝居のまねごとをしてみたり、都々逸集を読んだり、「ち、ちん、ちん、ゆく水のむこうええ〜」と新内の稽古本を見て歌い始めたり、いちいち脱線してしまうので仕事がちっともはかどりません。
【聴きどころ】
「白紙は白紙、からすはからす、線香紙は線香紙、陳皮は陳皮、毛は毛…」。調子をつけて紙屑を分ける仕草の合間に、都々逸や新内が披露される粋で陽気な滑稽噺です。こみちさんの張りのある喉が華やいだ気分をもたらします。なんでも遊びのネタにしてしまう若旦那の脳天気ぶりが楽しく、こみちさんの芸達者が活きる一席。古風ですが趣のある噺です。
【もうひと言】
東京では噺家がひとりで演じて、しっとりと艶っぽい魅力がありますが、上方ではこの噺は「はめもの」といって、下座さんの三味線や歌などがふんだんに入り、演者も踊りを披露するなど、とても賑やかなことで知られています。
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