泥棒のはかない夢
【あらすじ】
お妾さんのお梅の家です。お梅が夜になって旦那を送り出して部屋に戻ると、見知らぬ男が居座っているではありませんか。お梅は最初は驚きますが、刀を忘れてくるような間抜けな泥棒だということをすぐに見抜きます。泥棒が「金を出せ!」と脅しますが、うまくはぐらかし、それよりも「じつは旦那と別れようかと思っている。どうしたものか」と相談すると、泥棒はその気になって「いっそのこと俺のかかあにならないか!?」と引っかかってきました。お梅が承諾したので、泥棒はすっかり夫婦気取りで泊まっていこうとしますが、「だんつくがやきもち焼きでさあ、二階に用心棒がいるんだよ。それに裏は警察の寮なんだよ」とすげない返事。その上財布を巻き上げられる始末。「明日のお昼ごろ来ておくれよ。おもてにタライを出しておくから、それがなくなったら入ってきておくれ」と言われます。翌朝、泥棒がのこのこ訪ねて行くと、いつまでたってもタライがなくなりません。痺れを切らして家の前の煙草屋に探りを入れに行くと、じつは…。
【聴きどころ】
この噺、泥棒とお妾さんの描き分けが難しいところでしょう。普通は間抜けな泥棒の方から噺に入るのですが、朝夢さんはしたたかなお妾さんの側から噺に入ります。お梅のお妾さんらしい抜け目のなさ・妖艶さの描写も聞きどころですが、朝夢さんのお梅は若々しく軽やかな色気が特徴。泥棒の方も、お梅を呼び捨てしようとして、恥ずかしがって言い淀むところなど、なんともかわいらしく描かれています。
【もうひと言】
朝夢さんは、夢丸師匠の新作台本の公募企画「夢丸新江戸噺」に応募して、第一回最優秀賞を獲得し(「夢の破片」)、その後に弟子入りしたという変わり種。いつか自分の作った噺を自分で演じてみたいと語ってくれました。
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