逃れられない肥がめの呪い
【あらすじ】
兄貴分が新所帯を持ったと聞いて、ふたりの男がお祝いを贈ろうと考えます。古道具屋で良い水がめを見つけましたが、資金はふたり合わせてもたったの五十銭ぽっち。まけろと言ってもまかるものではありません。あきらめかけたふたりですが、古道具屋の主人がある提案をします。取り壊された家から掘り出してきた肥がめなら三十銭で売ってやるというのです。喜んだふたりはさっそく兄貴分の家にかめを持って出かけました。臭いが強いので台所に水を張って置き、あいさつだけでさっさとおいとましようと考えますが、兄貴分から一杯やっていくように勧められます。出てきた冷ややっこを一口いただいたところでふたりはハッと気付きます。豆腐の浮いてるその水は、件のかめから汲んできたものだったのです。
【聴きどころ】
笑いどころの多い噺ではありますが、あつかっているものがものだけに、少々品がなくなってしまう恐れのある、むずかしい演目でもあります。そこのところ菊可さんは、さらっと演じて少しも下卑たところがありません。後段は次から次へと訪れる困ったシチュエーションの連続で、爆笑必至の落語です。
【もうひと言】
「祝いの壺」「新宅祝い」などと縁起のいい別題をもつ噺ではありますが、原題はそのものずばりの「肥がめ」。上方で演じられる「雪隠壺」も同種の内容ですが、導入部とサゲが少々ちがった趣の噺となっています。
|
この商品の著者による商品一覧: 古今亭菊太楼(菊可改め)