悲しい“蛍族”たちのささやかな冒険譚 (解説付き)
【あらすじ】
マンションのベランダの隣同士で田中さんと福田さんのご主人が煙草を吸っています。ふたりとも家族に遠慮して室内では吸えないのです。女房のことやローンのことでグチをこぼし合っていると、不動産屋に勤める田中さんが、マンションと駅の間に安いアパートを見つけたので、共同で借りて自由に使いましょうと相談してきます。家賃は1万2000円。田中さんの提案に賛同した3人のお父さん、福田さん、三木さん、大平さんは、ひとり3000円で自分の秘密基地を持つことになりました。これで自由に煙草も吸えるし、好きなことができるとみんな大喜び。しかし3カ月も経つとそれぞれ気に入らないことが出てくるようで、ある日部屋で4人がかち合ったときにとうとう言い争いになります。いろいろな文句が飛び交うなか、大平さんだけ様子がへんです。見ると真っ青な顔をしています。みんなで心配していると、ドン!ドン!ドン! ドアを乱暴に叩く音が部屋中に響き渡るのでした…。
【聴きどころ】
自分たちの部屋を持てることになって、4人のお父さんたちが見せる子供のようなハシャギっぷりが可笑しいです。元気よく語る鯉朝師自身のパワーが演じられるお父さんたちだけでなく噺全体にみなぎっているので、聴いている側にも何かしら力が出てくるようです。
【ひと言】
長めのまくらからも本編からも鯉朝師のポジティヴな姿勢が伝わってきます。昨年真打に昇進したばかりの師の手を抜かない全力投球の高座はいつ聴いても気持ちがいいものです。
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