バクダンはなぜ爆弾ではないのか?
【あらすじ】
とにかく彼女が欲しくて欲しくて仕方がない男。やはり女にもてない友人から、見知らぬ女性の落とした携帯電話を拾ったのをきっかけに、彼女と交際するようになったという話を聞き、早速それを真似することにします。そして、この男もまた友人と同じように携帯電話を拾う偶然に恵まれるのですが、この携帯電話はメールで彼に「渋谷のゲームセンターにバクダンを仕掛けた」というメッセージを伝えます。さて、この男は渋谷を救うことが出来るのでしょうか。
【聴きどころ】
かなり新作落語を聞き慣れた人でも、この噺の後半の展開はちょっと見抜けないはずです。なぜ携帯電話を落とした人物は、ゲームセンターの、しかもUFOキャッチャーの中にバクダンを仕掛けなければならなかったのか? その謎を知りたい方はこの噺を実際に聞いてみるより他ありません。
【もうひと言】
古典落語のパターンの一つに、賢い者がやって成功したことを、間抜けな者が真似をして失敗するというものがあります(たとえば『時そば』)。この『バクダン』という噺も前半はそのパターンを踏襲していますが、今輔さんはさらにそこから聞き手が想像も及ばなかった新たな展開を付け加えています。噺の途中で今輔さんが「『野ざらし』かよ、と突っ込まれる」と言っているのは、このままでは古典のパターンのまんまだとお客さんから非難されるという意味です。そして、今輔さんは見事にそのパターンから抜け出ています。
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