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夜風に震える薄い竹輪麩(落語随談付き)【あらすじ】
寒い晩、二八蕎麦の屋台で男がしっぽく蕎麦を食べています。屋号からつゆ加減、竹輪の厚さ、どんぶりに至るまで、やたらと世辞を言います。江戸っ子らしからぬおべんちゃら。勘定の段になって、一六文と聞いた男は懐から一文銭を取り出し、数え始めます。「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、む、なな、や…今なん時だい?」「へい、九つでございます」「とお、じゅういち…」。巧みに勘定を一文ごまかして去ってしまいます。これを端で見ていた少々抜けた男、しばらく考えた末やっとからくりに気づき、自分も試してみたくなります。翌日、待ちきれずにまだ早い時間に繰り出した男は、通りかかった蕎麦屋をつかまえますが…。
【聴きどころ】
最も広く知られた噺の一つでしょう。シンプルなだけに、演者の個性と技量が際立ちます。昭和の名人を彷彿とさせる、高座で鍛え抜かれた小満ん師匠の声と語り口を堪能してください。前半の男のぽんぽんとまくし立てる、調子の良さに比べて、後半の間抜けな男のずっこけぶりが際立ちます。持ち上げようのない蕎麦屋に遭遇してしまった、悶絶する男の様子は気の毒なほど。「九つ」は現在の夜12時頃、「四つ」は夜の10時頃。
【もうひと言】
もとは上方の「時うどん」。三代目小さんが移したとされています。現在の上方でも演じられますが、二人がかりでうどん屋をからかう、東京とはずいぶん味わいが違う噺です。
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