内容紹介
『さあ今度は母様の番だよ。母様、何かお噺!』
大正浪漫を代表する人気画家が描く童心の世界
竹久夢二は明治〜昭和期にかけて活躍した画家・詩人で、大きな瞳の憂いをおびた「夢二式美人」と呼ばれる美人画や詩歌「宵待草」で一世を風靡しました。時代の寵児だった彼の作品は、雑誌の挿絵や日常雑貨のデザイン、商業広告など大衆文化の中に洒落たエッセンスとして取り込まれていました。そして、それは子どもの世界にも表れていたのです。
夢二はこども向け書籍に本格的に取り組んだ最初の画家でもあり、自著六十冊のうち童謡、童話、絵本などこども向けの文筆作品は三分の一にものぼります。
本書はその中から、童話『草の実』と『春』を収録しました。
合計52編あるおはなしには、全て夢二自身による可愛い挿絵が挿入されています。また文章は現代仮名づかいに改めルビを付し、読みやすくしました。
詩人になりたかったという夢二の紡ぐお話には、いつの時代でも誰の中にもある寂しい心にそっと寄り添うような、優しくて、温かいまなざしに溢れています。華やかな女性遍歴や美人画だけではない、夢二の知られざる純粋な一面にきっとあなたは夢二をずっと好きになることでしょう。
・初版収録時のカラー口絵と挿絵を全点収録
■著者紹介
竹久夢二(たけひさ・ゆめじ)
大正ロマンを代表する画家・詩人。1884(明治17)年、岡山県邑久郡生まれ。早稲田実業学校中退後、新聞、雑誌にコマ絵を描き、新進画家として世に出た。商業美術、生活デザインなど、活動分野は幅広く、とくに「夢二式美人」や作詞を担当した「宵待草」の唄では一世を風靡した。漂泊の人生を送り、郷愁と憧憬を、日本画、油絵、水彩画、木版画にあらわし、詩や童謡に謳った。1934(昭和9)年没。
■目次
■草の実■
はしがき
春の鳥
少年と春
花娘
対話 盲目の少女
さようなら
順礼歌
つぎつぎ草
瀬戸通い
逃れゆきし小鳥
あざみの花
白い薬
たそがれ
つぎつぎ草
里をゆく旅人
春の雪
機を織る娘
指
夏祭の夜
その夜の宿
聖 地
島の異人さん
妹
忠太
影山先生
赤いペン軸
このみ
小豆島
路
死
傀儡師
御仏
母
窓のムスメ
炬燵
おもいで
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■春■
はしがき
都の眼
クリスマスの贈物
誰が・何時・何処で・何をした
たどんの與太さん
日輪草
玩具の汽缶車
風
先生の顔
大きな蝙蝠傘
大きな手
最初の悲哀
おさなき燈台守
街の子
博多人形
朝
夜
人形物語
少年・春
春
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