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明治から昭和にかけて美しく、物哀しい短編を数多く遺している文人梶井基次郎。 その中でも有名な三話をオーディオブックCDでお届けします。 1時間弱、美しく儚い基次郎の世界観をご堪能ください。
知る人ぞ知る名作家、梶井基次郎の代表作「檸檬」のオーディオブック!!
「檸檬」は1925年、同人誌「青空」の創刊号にて発表された。
発表当時は、ただ静かに同人誌に発表されただけであったが、
その後小林秀雄らに評価され、梶井基次郎自身が文壇に認められる作品となった。
また以後には、書店に檸檬を置き去る人が後を絶たなかったと言われている。
梶井基次郎は、自身が少年時代から肺結核に苦しみ、若くしてこの世を去ることとなったが、
そのため基次郎の作品には、肺病を患った主人公が多く登場する。
「檸檬」の主人公もまた、肺を病んでいた…
―その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。 その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。 その熱い故だったのだろう、握っている掌から 身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった―
得体の知れない不安に心をおさえつけられ、
好きであった音楽や丸善に辛抱がならなくなる。
誰もいないところへ逃れたいと願い彷徨い歩いていた折、
以前から好きであった暗い果物屋に珍しく並んでいた檸檬を目にする。
ただひとつだけ買ったその檸檬は、不思議と心の不安を和ませ、
心を幸福な感情で満たしていった。
桜の樹の下には屍体が埋まっている!
誰もが一度は聞いたことのあるこの一節ですが、その真意とは…
見たものの心をうたずにはおかない美しさを持つ桜の樹に対して、
「俺」はその美しさが信じられずにこの上なく不安になり憂鬱になってしまう…
神秘的なほどに美しい桜に「屍体」を空想することによって、
「俺」が確かに感じる心の平衡とは。
「桜の樹の下には」は、1928年に「詩と詩論 第二冊」に発表された短編小説。
全編に渡り主人公のモノローグという手法で以って描かれる。
多くの小説や漫画、映画などに、今も影響を与え続ける梶井基次郎の代表作。
梶井基次郎の桜観が語る美の極みを、オーディオブックで感じてください。
1926年に同人誌『青空』にて発表された耽美的名作。
月光の下、影と自己との境目を見失った若者が遂げた生と死の物語。
お手紙によりますと、あなたはK君の溺死できしについて、
それが過失だったろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう、
あるいは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様さまに思い悩んでいられるようであります。
そしてわずか一ひと月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K君と相識ったというような、
一面識もない私にお手紙をくださるようになったのだと思います。
私はあなたのお手紙ではじめてK君の彼地かのちでの溺死を知ったのです。
私はたいそうおどろきました。と同時に「K君はとうとう月世界へ行った」と思ったのです。
どうして私がそんな奇異なことを思ったか、それを私は今ここでお話しようと思っています。
それはあるいはK君の死の謎を解く一つの鍵であるかも知れないと思うからです。
1901年(明治34年)〜1932年(昭和7年)。大阪市西区生まれ。近代日本文学の古典的存在とされる。
高校時代エンジニアを目指していたが、その後文学に傾倒し東京帝国大学文学部英文科に進学。
1925年(大正14年)、同人誌「青空」を刊行し、代表作「檸檬」を発表。
その作品は、自身の病気を題材にすることも多く、私的小説的な作品が多い。
1932年(昭和7年)、肺結核のため死去。享年31歳。
命日の3月24日は、その代表作から、「檸檬忌」(れもんき)と呼ばれている。
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