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内容紹介桑名藩の武士・深谷半之丞は、藩の名代として馬競べの催しに出ることになった。自分の乗る馬として名馬を用意されるも、年老いた駄馬に乗って出場する。寡黙な半之丞の思いとは——? 物事の本質を見つめ、決しておごらず、義理と愛情を忘れない。美しい志を持つ一人の男の物語。 伊勢の桑名藩に、馬術に長けた深谷半之丞という男がいた。桑名城主の本多忠勝の命で、伏見で行われる将軍家の祝賀の催し・馬競べに出ることになった。半之丞は藩一番の名馬・牡丹と稽古にはげむ。ある日、農夫が連れている一頭の老いた駄馬に目を止め、譲り受ける。牡丹がいながら駄馬に乗って馬競べに出るが、果たしてそのわけは。馬競べの本当の目的は。半之丞が言葉少なに語る。 山本周五郎(やまもと・しゅうごろ)1903〜67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。 |
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