日本の名作怪談劇場
どきどき怖い
じんわり怖い
ひたひた怖い
しっとり怖い
奥ゆかしく情緒豊かな、知っておきたい、聴いておきたい日本の原風景である古典名作怪談。
ただ怖いだけじゃない、みんなが知っているあの話を、実話怪談 百語りの名手 城谷歩の語りと、効果音、BGMでドラマチックに聴かせるオーディオ劇場。
対象:小学3年生以上推奨
内容紹介
「貉(むじな)」作 小泉八雲 (18分)
東京の紀伊国坂。かつてこの坂は、夜になると本当に暗く人気のない寂しい所で、人を化かす貉が出るという噂の場所だった。日が暮れると誰しもがわざわざ遠回りをしてまで、この場所を避けて通るというほどの。
一人の年老いた商人が、まだ若いころに体験したのは、出先からの帰り道たまたまこの坂道を通りがかった時の事だ。坂道の脇、堀端で屈んでシクシクと泣いている女がいる。見れば人品卑しからぬ若い女。親切心から「お女中、お女中」と声をかけるのだが。
「鏡と鐘と」作 小泉八雲 (29分)
数百年昔。遠江の無間山(むげんざん)のお寺で、釣り鐘を作ろうという話になった。しかし材料が足りないため、近郷の檀家から青銅製の鏡を寄付してもらおうということになった。
どの家でもそういうことなら喜んでと女たちは鏡を差し出したのだが、中に一人、一度喜捨した自分の鏡に未練を残した者がいた。その思いはよほど強く、鐘を作るのに鏡を溶かそうとしたのに、この女の鏡だけが溶けなかったほど。
やがて、女は憎悪に満ちた気持ちを抱いたまま自ら命を絶ってしまう。
「小豆とぎ橋」作 小泉八雲 (19分)
昔、松江にある普門院というお寺の近くには「小豆とぎ橋」と言われる橋があった。夜な夜な橋の下からは小豆を研ぐ音が聞こえてくる。小豆を研いでいるのは人ではなく、女の幽霊で、夜に謡曲の杜若(かきつばた)をうたいながら通るとよくないことが起こると、実しやかな噂が広まっていた。
ある日、一人の豪胆な侍がその話を聞き、「そんな馬鹿な話があるものか、それなら自分が試してやろう」と仲間と酒を飲んだ帰り道、真っ暗な中この橋を通ることにした。大きな声で杜若を謡いながら。何事もなく橋を渡り切ったまでは良かったのだが…。
「飴を買う女」作 小泉八雲 (24分)
母は強しという格言の如く。
ある晩、夜更けに一軒の飴屋の戸口を叩く者がいる。店はとうに閉まっていて、そればかりか寝静まっていたような深夜。
店の主人はいつまでも叩く音が止まないので、仕方なく起き出していき入り口を開けると。立っていたのは薄手の白っぽい着物を着て、両の腕に生まれて間もない赤ん坊を抱いた一人のか細い女だ。
男でさえ出歩かないような夜更けに一体何事かと思っていると、「乳が出なくてこの子が腹を空かせております。どうかこれで買えるだけ飴を売ってください…」と一文銭を差し出した。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年~2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
小泉八雲(こいずみ・やくも)
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンは、米国でジャーナリストとして活躍した後、1890年、東洋の神秘に興味を持ち来日。同年、英語教師として松江中学に赴任。小泉セツと結婚。熊本第五髙等中学校(熊本大学の前身校。校長は嘉納治五郎)へ転任。
1896年、日本に帰化。「小泉八雲」と改名する。以来、東京帝国大学(夏目漱石の前任)、早稲田大学で英文学を講じながら『怪談』等の英文による名作を執筆する。
1904年、狭心症のため54歳で逝去。法名「正覚院伝浄華八雲居士」。
1915年(大正4)、日本文化を広く欧米に紹介した八雲の功労に対し日本政府は彼の没後、従四位を追贈。
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