「スタジオ録音の怪異談」 四代目 桂文我
スタジオ録音で「怪異談」を収録する作業は、毎月開催の猫間川寄席の会場となる、玉造・さんくすホールで行われていますが、収録が深夜に及ぶことも多くあり、録音作業の小野裕司氏の表情も鬼気迫り、背筋に冷たい物が走る時もありました。
ライブ録音とスタジオ録音では、雰囲気に大きな差があるだけに、ライブ録音の方が臨場感があって良いと思われる方も多いでしょうが、スタジオ録音の方が落ち着いて、細かく演じている場合も多いと言えましょう。
還暦も越えた昨今、頭の中にあるネタは、出来るだけ、録音して、残して行きたいと思っていますので、ライブ録音でも、スタジオ録音でも、その場の怪異談を楽しんでいただければ、幸いです。
シリーズの中には、滑稽怪談や、細工の名人の不思議な話など入っていますが、これも彩りの一つと捉えていただきますように…。
あなただけの耳に、心を込めた怪異談を流し込みますので、どうぞ、宜しくお付き合い下さいませ。
内容紹介
「指南書」(しなんしょ)(26分)
二代目桂(文廼家)文之助が創作したと言われている、仏教落語の一つです。心が迷っ
た時、おみくじ・手相・顔相・字画等で、解決策を見つけたり。易者に自分の運勢は、わからないのでしょうか?
「狐の渡し」(きつねのわたし)(18分)
第二次世界大戦前に刊行された速記本に掲載されていますが、長年、高座で上演する者
は居ませんでした。京都と大阪の間を流れる淀川の逸話だけに、上方落語の珍品として、今後も工夫を重ね、より良く仕上げて行く所存です。
「朝比奈」(あさひな)(20分)
この落語は、上方落語「骨つり」の別バージョンと考えてもよいでしょう。しかし、細
かい部分が違っているので、「骨つり」と聞き比べていただくと面白いかも知れません。鎌倉時代の豪傑・朝比奈三郎が登場する、豪快なネタです。
「古井戸の妖鏡 」(ふるいどのようきょう)(17分)
三重県松阪市にあったと伝わる、大河内明神再建の物語を、小泉八雲が纏めました。現
在、大河内神社はありますが、この物語の大河内明神の場所はわかりません。このような物語は、謎を含んでいる方が、興味深く聞けるかも知れませんね。
「耳なし芳一 」(みみなしほういち)(30分)
父親がアイルランド人、母親がギリシャ人の明治時代の傑物・小泉八雲が著した名作に
オチを付け、落語仕立てにした、不気味で、哀れな物語。現在の山口県の赤間神社が、この噺の舞台となっている阿弥陀寺です。
四代目 桂 文我(かつら ぶんが) プロフィール
昭和35年生まれ、三重県松阪市出身。昭和54年3月、二代目桂枝雀に入門し、桂雀司を名乗る。平成7年2月、四代目桂文我を襲名。全国各地で、桂文我独演会・桂文我の会や、親子で落語を楽しむ「おやこ寄席」も開催。 平成25年4月より、相愛大学客員教授に就任し、「上方落語論」を講義。国立演芸場花形演芸大賞、大阪市咲くやこの花賞、NHK新人演芸大賞優秀賞、芸術選奨文部科学大臣賞など、多数の受賞歴あり。
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