上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
佐倉義民伝・その八「宗五郎の亡霊」(30分)
下総国、現在の千葉県。領主、堀田上野介が厳しき年貢、運上金を取り立てる。百姓たちはこらえきれず、ついに百姓一揆を起こした。そうして、年貢、運上金の改善を願い出たが、聞き入れてもらえない。
そこで公津、岩橋、二ヶ村の名主、木内宗五郎が佐倉領、二百二十九ヶ村、二万七千人のために、身命投げ売って将軍に直訴に及んだ。直訴の罪によって、宗五郎夫婦、子供らは全員処刑され、刑場の露と消える。そのうちに宗五郎の亡霊が出るという噂が立つ。
その九「堀田上野介発狂」(20分)
堀田上野介は家来を相手に碁を打っておいでるになる。すると目の前に宗五郎の姿がありありと現れました。これを見ると殿様は大層お怒り遊ばし、相手の家来を一人手打ちに致します。もう発狂でございます。
その十「堀田家改易(大団円)」(30分)
佐倉領の民は宗五郎を神のごとくに敬い、社を建造して宗吾大明神とまつり、多くの人々が尊敬をして今もって香華が絶えません。
「左甚五郎と化け猫」(19分)
左甚五郎という人は世に様々な名作を作りましたが、また随分と変わった作品も残しました。その中で有名なのが竹の水仙という。竹でこしらえた水仙が、水を吸い上げまして、パーッと綺麗な花が咲くという。それに、大黒様を掘り上げましたときには、その大黒さまがニコニコニコニコっと笑っているように見えたという。
また、上野東叡山寛永寺、鐘つき堂の柱に、龍を掘り上げましたときには、なんとその龍が、毎夜、不忍池の水を飲みに出かけたなんという話も伝わっています。あるいは細川の鷹という。ある時、細川様が、
「これ、床の間の置物にするゆえ、鷹を掘ってもらいたい」
「かしこまりましてございます」
と甚五郎が引き受けた。やがて、出来上がりました鷹。なんと、バタバタバタバタと羽ばたきますと、殿様のお居間から、次の間さして飛び回ったという。色んな話があります。さて今回は……。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程修了。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
2021年、『旭堂南湖講談全集』(レベル)発売。
2021年、滋賀県文化奨励賞受賞。
2023年、『滋賀怪談 近江奇譚』(竹書房怪談文庫)発売。
2024年、『上方講談という愉しみ』(寿郎社)発売。
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
X https://x.com/nanko_kyokudou
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