上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
左甚五郎・その一「天下一」(28分)
「古典怪異譚18」で、左甚五郎の龍のお話をしました。木彫りの龍がよなよな池の水を飲むという、実に不思議な物語でした。こういった不思議なお話は、他にもあります。今回は左甚五郎の生い立ちから順々に申し上げます。
昔から、祖師は日蓮に奪われ、大師は弘法に奪われ、奉行は大岡に奪われ、義士は四十七士に奪われ、などという。彫り物の中にも運慶、快慶、湛慶をはじめ、沢山の名人上手がいるが、彫り物の名人といえば、まず左甚五郎が第一番だ。
さて、その生い立ちを申し上げますと…。
左甚五郎・その二「竹の水仙」(27分)
後水尾天皇に竹べらの水仙を献上して、天下一の称号を受けた左甚五郎。相変わらず伏見の藤の森にいて酒ばかり飲んでいる。この天下一の称号を受けたものは、後にも先にも、左甚五郎ただ一人。
ある日、この甚五郎の家を訪れたのは江戸の越後屋、三井の番頭。運慶の恵比寿様に釣り合う大黒様を彫ってもらいたいという。甚五郎は運慶の恵比寿様を見て、その見事さに感嘆した。
「よろしい。承知しました」
さあ、どうなる…。
左甚五郎・その三「ポン州」(23分)
左甚五郎といえば、日光の眠り猫などが有名です。ちょっと聞くと彫刻家のように思えます。しかし本当は建築の大家。築城から神宮、寺院建築の名匠でございます。
江戸へ出ようというので、京都の伏見から、東海道をブラリブラリと下ってきた。鳴海の宿では一文無し。四、五日逗留して酒ばかり飲んでいる。宿の亭主が宿賃の催促をすると、よしとばかりに作った竹べらの水仙。これを表に出しておくと、細川越中守のお行列。この水仙が細川公のお目に止まり、早速ながら言い値の五十両でお買い上げ。驚いたのは宿の亭主。さあ、どうなる…。
左甚五郎・その四「三井の大黒」(15分)
江戸へ出て政五郎棟梁の家に転がり込んだ左甚五郎。この政五郎は、名棟梁、甲良宗広の妹を妻にしている。仲間内では諏訪町の政五郎で通っている。将軍家の御用工匠の一人です。政五郎の方では、このぼんやりした男が、帝から天下一の称号をもらった甚五郎とは知らないから、ポン州というあだ名を付けた。甚五郎は、暇さえあれば酒をガブガブと飲んでいる。
年末、皆は餅代稼ぎに夜なべをして塵取りや鰹節削りを作っている。さあ、どうなる…。
水戸黄門珍遊記・その四「化け物は好色だ」(14分)
昭和の頃、三代目南陵によって書かれた怪奇幻想講談。
お馴染みの水戸黄門が、助さん、格さん、それから長次の三人をお供に連れて諸国漫遊。ある村へやってくると化け物が出るという。
さあ、どんな騒動が巻き起こるのか。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程卒業。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
OKOWA胎動出場
怪談グランプリ2019出場
怪談最恐戦2019ファイナル出場
東大阪てのひら怪談優秀賞受賞
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
Twitter http://twitter.com/nanko_kyokudou
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