上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
佐賀怪猫伝「その六 呼吸する死体」(32分)
鍋島家に祟る半面まだらの烏猫。鍋島丹後守の家来、近習頭の小森半左衛門は怪猫のために、母を食い殺され、いままた妻のぬいがおびえて死んだ。
無念ながら小森半左衛門は親類友人を招いて妻の弔いをすることになった。
死骸は棺におさめ、お寺からお坊さんがやってきて念仏を唱える。
次第次第に夜が更けてくる。すると、一人、また一人と、コクリコクリと居眠りをするものが出てくる。
しまいには念仏を唱えているお坊さんまでが眠ってしまう。これを見て小森半左衛門は驚いた。
「はて? 変なこともあるものだ。出家まで眠るとは何事であるか」と思っていると、ミシリミシリと聞こえる足音。
なんと、半面まだらの烏猫がやってきた。さあ、どうなる?
「その七 魔性の女」(31分)
鍋島家に祟る怪猫は姿を消した。半左衛門がその行方を必死に探している。
すると、鍋島丹後守が近く、お国入りをなさる。
江戸のお屋敷にはお豊の方というお妾がおります。このお豊の方が妊娠。しからば国元で安らかに出産させたい。そこでお豊の方は殿様より一足先に帰ることになった。
これを幕府に届けるとお許しが出た。徳川時代は「入り鉄砲に出女」と言って、江戸に鉄砲が入ること、江戸から女が出ていくことは取締がきつかった。これは大名の奥方は人質として江戸に置いてある。
ところが大名の中には色々と口実を作って、姿を変えたりして国へ送るものがある。
お豊の方はお妾ですから、すぐにお許しが出た。さあ、どうなる?
「その八 怪猫の行方」(21分)
小森半左衛門はお豊の方のお供をして、本国佐賀へ帰国の途中、殿様より預かりました藤四郎吉光の短刀を何者かに盗まれてしまった。
そこで江戸へ戻って殿様に対面。鍋島丹後守は大層立腹。手討ちになるかと思ったが、これが情けの手討ちであった。
小森半左衛門は涙を流して喜んだ。小森半左衛門は浪人となり、下僕の高木三平と一緒に、怪猫と短刀の行方を探っている。
小森は浪人になりましたから金がない。そこで三平が仕事をする。江戸時代には色んな商売がありました。猫の蚤取り屋とか、流しあんまとか。
三平は三文笛を買ってくると、毎晩のように江戸の町を歩いて、あんまの仕事。
怪猫はどうやら江戸にはいない。さあ、どうなる?
「その九 お豊の方の生い立ち」(29分)
お豊の方の生い立ちは実に不思議であった。
佐賀の城下から二里ばかり離れた宇佐美村に名主で宇右衛門という、律儀で評判のいい人。
女房がお常。この宇右衛門がどうしたことか猫が大嫌い。ところが夫婦でありながら、女房のお常は猫が大好き。猫を飼いたいと思っているが、夫が猫嫌いだから飼えない。仕方がないから近所の猫が遊びに来ると、抱いたり、食べ物をやったりして可愛がっている。
ある日のこと、宇右衛門が我が家に帰ると、お常がどこから連れて帰ったのか、子猫を抱いている。夫婦の間に子供はない。この猫を飼いたいという。夫はしぶしぶ認めた。 この猫が半面まだらの烏猫。さあ、どうなる?
「その十 宇右衛門の死」(23分)
宇佐美村の名主、宇右衛門の娘となったお豊。月日が経つのは早いもので十六歳になった。
もう絶世の美人。お豊を見て、「こんな田舎に」と振り返らないものは一人もいない。近郷近在はおろか佐賀の城下にまで噂が出るぐらい。
ところが、お豊の兄、林蔵は家が気楽なところへ、宇右衛門が叱らないで可愛がるから、そろそろと酒の味を覚え、田舎は博打が盛んで、この博打にこりはじめた。
母親が心配して、色々と意見をするが、そんなことは耳に入らない。
悪い友達ができて、とうとう手にも足にもおえんようなヤクザ者になった。これから半面まだらの烏猫が本性を現して鍋島家に祟るという波乱万丈の物語。さあ、どうなる。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程卒業。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
OKOWA胎動出場
怪談グランプリ2019出場
怪談最恐戦2019ファイナル出場
東大阪てのひら怪談優秀賞受賞
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
Twitter http://twitter.com/nanko_kyokudou
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