[オーディオブック] 芥川龍之介全集 一
芥川龍之介
パンローリング
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653分 57ファイル 2017年12月発売
本体 3,000円 税込 3,300円
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オーディオブック(音声ブック)
を聴くには? | CD版
内容紹介
井上靖、安倍公房、松本清張、中上健次、村上龍らも受賞した
純文学の新人賞は、芥川龍之介の名を記念して創設された――
日本の文学史でも、指折りの短編小説の名手である芥川龍之介。
その名を冠する「芥川龍之介賞」(芥川賞)は、今日に至るまで権威のある文学賞として社会的関心を集めています。
主に短編小説に多くの傑作を残し、その作品は平易な文体ながらも、その秀逸な言葉選びや、深くまで切り込んだ心理描写の生々しさも相俟って、読み手を瞬く間に作品世界に引き込んでくれます。それも一因となって非常に人気が高い作家であり、没後には、何度も全集が刊行されて広く愛読されています。
この度、芥川龍之介全集が、満を持してオーディオブックに登場です。代表作以外にも隠れた傑作が数多く収録されています。通勤や移動の合間にも、文学史上に輝く綺羅星のような作品に触れられる当オーディオブックは、きっと感性にも豊かに響く、意義深い時間を届けてくれることでしょう。
<あらすじ>
「羅生門」
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨が止むのを待っていた。彼は四五日前に主人に暇を出されていた。雨が止んだところで、彼に行き先は無かったのである。
羅生門の楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸が無造作に棄てられていたが、その中に蹲っている人間を見た。檜皮色の着物を着た、背の低い、痩やせた、白髪頭の、猿のような老婆であった。
その老婆は、女性の死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子の虱をとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。
その様を見た下人は、悪を憎む心に駆られ、太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆は、一目下人を見ると、まるで弩にでも弾かれたように、飛び上った。下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで、こう罵った。
「おのれ、どこへ行く」……
「魔術」
私が友人を介して交際していたインド人のマティラム・ミスラは魔術の大家でもあったが、実際に彼が魔術を使ったところを見たことの無かった私は、約束を取り付けて、彼が魔術を使うところを見せてもらうことになった。
実際に見せてもらった魔術は、実に摩訶不思議なもので、テーブルかけの花模様から本物の花を取り出したり、ランプを独楽のように回転させたり、書棚の書物を鳥のように飛ばせて、テーブルの上に積み重ねたりと、私は夢を見たような心地になっていた。このような魔術は誰にでも使うことが出来るという彼の言葉を思い出した私は、私のような者にも魔術が使えるのかと尋ねたところ、彼はこう答えた。
「使えますとも。誰にでも造作なく使えます。ただ――」と言いかけて彼はじっと私の顔を眺めながら、いつになく真面目な口調になってこう言ったのだ。
「ただ、欲のある人間には使えません。魔術を習おうと思ったら、まず欲を捨てることです。あなたにはそれが出来ますか。」……
収録作品
秋
お時儀
お律と子等と 一
お律と子等と 二
お律と子等と 三
お律と子等と 四
お律と子等と 五
お律と子等と 六
お律と子等と 七
蜜柑
死後
羅生門
尼提
或日の大石内蔵助
きりしとほろ上人伝
仙人
孤独地獄
おしの
湖南の扇
竜
蜘蛛の糸
猿
ひょっとこ
古千屋
女
戯作三昧 一
戯作三昧 二
戯作三昧 三
戯作三昧 四
戯作三昧 五
戯作三昧 六
戯作三昧 七
戯作三昧 八
戯作三昧 九
戯作三昧 十
戯作三昧 十一
戯作三昧 十二
戯作三昧 十三
戯作三昧 十四
戯作三昧 十五
魔術
西郷隆盛
芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)
大正期の小説家。1892年東京都生まれ。東大卒。乳児期から母方の実家で育てられた。東京帝国大学在学中の1916年に第四次「新思潮」創刊号に発表した「鼻」が夏目漱石に絶賛され文壇にデビューする。初期の古典を材料にした「羅生門」「芋粥」「地獄変」などの名作を経て、「点鬼簿」「歯車」など自己の周辺にテーマを得た作品に移行。様々なトラブルで心身とも衰弱し、1927年に自殺して36歳の若さでこの世を去る。没後、親友である菊池寛によって、芥川賞が創設された。
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