内容紹介
「ホホホホホホホ……」 だって可笑おかしいじゃありませんか。 ……妾わたしはねえ。失恋の結果世を儚はかなみて、何度も何度も自殺しかけたんですってさあ。
失恋から精神に異常をきたした女性は自分の境遇を語る。女学校出身で卒業後は毎日牢屋のような空間に閉じ込められ、一歩も外出たらいけないと言い渡される。
終いには着物も何もかも取り上げられ、極まりの悪さを感じていた。着物を引き裂いて首をくくる可能性があるという説明に、女性は情けない気分になってしまった。
女性が生まれる前から父親は亡くなり、母親は蒸発。叔父さんに引き取られて育ってきた。ある出来事がきっかけで女性は発狂。
叔父さんの家の倉庫の二階に監禁された。その後も何度も自殺未遂を行い、ついに病院へ連れていかれる。そしてどこで出会った院長と女性の妄想の中である一致が見つかり・・・。
……僕の不眠症の原因がわかったんです。ここへ入院してからというもの、どうしても眠れなかった原因が……。
不眠症に悩んでいた男はついに不眠症の原因が分かったと看護婦長に伝える。男はとんでもない呪いにかかっていると説明。
卒業論文を書いている最中の出来事で、決して神経衰弱ではないという。不眠署の原因はすぐ横のベッドに寝ている支那の留学生だ。
しかし、看護婦長に支那人の存在は見えていなかった。男が語る不眠症の驚愕の原因とは?
夢野久作(ゆめの・きゅうさく)
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。 1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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