あらすじ
中島敦の短編小説。唐の時代に書かれた「人虎」として
知られる中国の変身譚を元にしている。
教材としても人気があり、高等学校の現代文の教科書に
多く掲載されている。
李徴は博学才穎で、若くして名を馳せ役人となったが、
自尊心が強く官職に満足できなかった。
官職を辞し詩作に耽るも、上手くいかずに挫折する。
その後、生活のために地方官となるも、屈辱的な日々に
自尊心はひどく傷つき、ついに発狂して姿を消してしまった。
翌年、李徴の友人である袁参が、人喰虎が出るという道を
危険を顧みずに進んでいると、一匹の猛虎が躍り出た。
虎は、かつての友人李徴であった。
李徴は袁参に語る。なぜ自分は虎になったのか。
人との交わりを避け、詩家を目指すも切磋琢磨を怠った。
それは臆病な自尊心と、尊大な羞恥心の所為であった。
この羞恥心が心のうちに潜む虎であり、家族や友人を傷つけた。
そうしてついに、本当の虎になってしまったのだ。
誰しもが心中には猛獣を飼っている。
それが自分や人を傷つける。
李徴の場合はそれが虎であった。
中島敦(なかじま・あつし)
1909-1942
小説家。デビュー作は「山月記」「文字禍」で、つづけて「光と風と夢」を発表。気管支喘息悪化のため1942年、33歳で早逝。「李陵」などの作品は、遺作として没後発表された。
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