骨太の「らくだ」登場!
【あらすじ】
「らくだ」と呼ばれている町内の嫌われ者がフグの毒に当たって死んでしまいました。死体を見つけたらくだの兄弟分、こいつはらくだに輪を掛けた厄介者ですが、弔いをしてやろうとしても金がありません。そこに運悪く屑屋が通りかかりました。わずかな金を置いて逃げるように去ろうとしますが、男に長屋で香典を集めるように頼んでこいと言いつけられてしまいます。屑屋がしぶっていると、男は屑屋の商売道具の鉄砲笊を取りあげてしまいます。町内ではらくだが死んだことを聞いて、みんな大喜び…。今度は「大家のところに酒や飯を持ってくるように頼んでこい。もし、大家がいやだのなんだのぬかしやがったら、『死骸のやり所に困っています。こちらに死骸を持ってくることのついでに、死人に“かんかんのう”を踊らしてご覧にいれるから』と、そう言ってこいっ!」と命令されます。ところが大家はそう伝えても驚きません。「あんな奴にとんでもねえことだ。踊らしてもらおうじゃねえか!」と啖呵を切ります。屑屋が男にそう報告すると、男はいやがる屑屋にらくだの死骸を背負わせ、ふたりは大家のところに向かいます。
【聴きどころ】
気弱な屑屋が、らくだの兄貴分や長屋の連中にどなられっぱなしでおどおどしていたのに、悪事の片棒を担いだところから少しずつ変わりはじめ、弔い酒を飲むうちに豹変していくさまが聞きどころ。また、最初から死体で登場する、落語でも珍しい登場人物「らくだ」の横暴ぶりが、皆の口から語られるという、映画のような趣向も面白いところです。登場人物がくせもの揃いで演者を選ぶ大ネタですが、弥助さんはクスグリはほとんどなしで、骨太の「らくだ」を見事に演じています。
【もうひと言】
もとは上方話で、三代目小さんが東京に移したもの。“かんかんのう”は、江戸から明治にかけて流行した俗謡。もともとは中国の歌ですが、一種のナンセンスソングとして踊り(唐人踊り)と一緒に大変流行ったものだそうです。禁令まで出されました。
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