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内容紹介

ソクラテス、プラトン、釈迦、イエス、空海、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、ヴィトゲンシュタイン、ハイデガー、サルトル、手塚治虫…先哲たちの「死」をめぐる思索と苦悩をたどる新・哲学入門。

哲人たちの「死」についての思索と苦悩 本書で取り上げる「哲学者」とは、釈迦、ソクラテス、プラトン、イエス・キリスト、空海、源信から、キルケゴール、ニーチェ、フッサール、ハイデガー、ヴィトゲンシュタイン、サルトル、カール・セーガン、手塚治虫といった「死」について考え抜いた偉人たち。
「哲学者」とはいえ、ご覧のように哲学者だけでなく、宗教者もマンガ家も科学者も入っています。本書では、彼らを総称して「哲学者」「哲人」「先哲」としています。
そんな先哲たちの「死」ついての思索(死生観)と、彼ら自身が一人の人間として「死」にどう立ち向かったかをたどります。
そこでは哲人たちの著作だけでなく、アニメ、マンガ、ゲーム、映画、ドラマ、音楽ビデオなど、サブカルチャー作品も参照し、現代の死とさまざまなブームをめぐる状況にも目を配っています。サブカルチャーと対比しながら、難解な哲学書、聖書、仏典などを わかりやすく読み解き、死をキーワードに哲学とキリスト教・仏教などの本丸に乗り込もうといざなう入門書です。

収録内容

死も哲学も神におまかせキルケゴール 対 絶対精神黙示録ヘーゲル
失恋に始まり信仰で終わるキルケゴールの人生
聖書「ラザロの復活」からのキルケゴール入門
「死んでも死なない」という死生観
キルケゴールとニーチェの死生観の違い
キルケゴールとニーチェを映画監督にたとえると
キルケゴールのモチベーションはどこからきたか
矛盾をガソリンにするヘーゲル弁証法という名の自動車
格闘ゲームで考える「負ける」意味
死を弁証法に組み込む違和感
ヘーゲルの死生観をミュージック・ビデオで理解しよう
質的な弁証法・量的な弁証法
キルケゴールの「絶望」の分類
「絶望」とは何を指すのか？
死に切る──最晩年のキルケゴールの死生観
エヴァで読む『死に至る病』の「絶望」

永遠回帰で死なないニーチェ 対 無意味な生を終わらせる死ショーペンハウアー
ニーチェの死生観「永遠回帰」とは何か
映像作品でわかる永遠回帰
キリスト教の時間軸とニーチェ
『ツァラトゥストラ』と『聖書』を読み比べる
「天国」とルサンチマンの関係とは
ニーチェの「神は死んだ」の意味
「神は死んだ」はどのように書かれているか
たびたび「ニーチェ・ブーム」が起こる日本の不思議
永遠回帰を生き直す超人
ニーチェに多大な影響を与えたショーペンハウアー
ショーペンハウアーと現代の手帳ブーム
ショーペンハウアーが死について語ったこと

イデア論という理想世界へ臨むプラトン 対 終活の元祖ソクラテス
西洋哲学の始源プラトンの「イデア」
映画『インスタント沼』の完璧な折れ釘
イデアを描いたベストセラー『ソフィーの世界』
毒杯をあおったソクラテスの死生観
「知恵の神の世界」への行き方──死の練習レッスン
ソクラテスの最期
プラトンの問いにまだ答えられない現代人

厳密なる現象学の師 フッサール 対 西洋哲学の死生観を更新したハイデガー
ハイデガー入門はフッサールから
似顔絵を描くことの「間主観性」とは
似顔絵師に舞い込んだ遺影の依頼
「死んでみる」ことはできない
ハイデガーの特殊な人間観＝現存在
現代に「死」を問うハイデガー哲学
世界の中で生きている（世界内存在）とは？
死を生に織り込む「先駆的決意性」とは？
ハイデガーと自己啓発の関係

ハイデガーがスポイルした「死の不安」を哲学するヤスパース
ハイデガーが残したモヤモヤ感
ヤスパースによるハイデガー批判
信仰を持ったリアリスト、ヤスパースの死生観
最も身近な人の死について
この「わたし」の死
死後の引越し先が「無」だとしたら？
神のカルテ──神の存在証明は哲学を通じて
どうやって神を知るか──ヤスパースの「暗号」
暗号として顕れる神とユング
ヤスパースは死後の世界をどう思い描いたか
賭けますか？ 賭けませんか？ パスカルの賭け
現代日本でヤスパースはどう解釈できるか
現代日本にヤスパースは活かされるか

無時間世界を生きるヴィトゲンシュタイン 対 革新的な死生観を示しながら壮絶死したサルトル
哲学の墓掘人、ヴィトゲンシュタインの死生観
「時間なんてない」──ヴィトゲンシュタインの時間観念
キャラが濃すぎる哲学者
まるで宇宙人の思想
部屋にはサイがいる？？？
語りえぬものについては沈黙せよ
死への不安と恐怖──ジャンケレヴィッチ
ヴィトゲンシュタインを超えるサルトル
不安が実存主義に回帰させる
死は虚無である──サルトルの死生観
『探偵物語』最終回の死とサルトルの死生観
自分の思想の虚無に耐えられなかったサルトル
サルトルの悲惨な死に方
人間は机のようには定義できない存在
ヴィトゲンシュタインとサルトルから何を学べばいいのか
沈黙を守るべき？

死から甦ったキリスト 対 いまも生きている空海そして、日本的霊性を発見した鈴木大拙
キリストを哲学的にどう考えればいいのか？
「ラザロの復活」から知るキリスト
空海はいまも生きている？
著者、兼六園で空海に出会う!?
誤解されがちな空海の死生観
覚鑁が結びつけた浄土思想と空海の思想
覚鑁の死生観の新しさ
浄土真宗に日本的霊性を見出した鈴木大拙
釈迦はどう語ったのか？ という疑問
釈迦は死について何を語ったのかそして、手塚治虫は釈迦の死をどう描いたのか
釈迦はどのように亡くなったのか？
「あくまでもマンガですが……」という断りを入れる手塚ブッダ
手塚治虫は釈迦の死をどう描いたか

釈迦は死について何を語っていたのか
仏典を改変する手塚治虫
遺作『ネオファウスト』と死生観
繰り返し描いた円環（永遠回帰）
手塚治虫はファウストだった？
映画『シャイニング』の永遠回帰
『ブラックジャック』の死生観

日本人の「あの世」のイメージ『往生要集』源信 対 キリスト教的他界観『神曲』ダンテ
ミュージカル仕立ての「厭離穢土」
極楽さえも修行の場──欣求浄土
『往生要集』と『神曲』を比較する
煉獄とは何か
西洋の源信、ダンテの煉獄
プラトンも登場する「煉獄篇」
煉獄を哲学的に考える
煉獄の火と浄土思想の火
現代詩やドラマにも引用される「火」
「あの世の話」には実存主義が隠されている
生まれてくるのが早すぎた！中世哲学者ブルーノ

ともに宇宙観に強く結びついた死生観中世哲学者ブルーノ 対 現代物理学者セーガン
深く結びついた宇宙観と人間の死生観
科学と宗教と哲学の接地点──ペンローズ
驚嘆すべき先覚者ブルーノの宇宙観
死の恐怖を克服したブルーノ
ブルーノの宇宙観はオリジナルか？
死とは存在のあり方の変容──クザーヌス
天文学に死生観を統合したセーガン
セーガンの人間観
宇宙が生き永らえるために、人間は死なねばならないのか？
「代謝する宇宙」の思想を体感する手がかり

内藤 理恵子（ないとう・りえこ）

1979年生まれ。哲学者、宗教学者。博士（宗教思想）。
2002年、南山大学文学部哲学科卒業(現在は人文学部に統合)。
2010年、南山大学大学院人間文化研究科宗教思想専攻博士後期課程修了。
現在、南山大学宗教文化研究所非常勤研究員。
著書に『正しい答えのない世界を生きるための「死」の文学入門』『新しい教養としてのポップカルチャー』（日本実業出版社）『必修科目鷹の爪』（KADOKAWA/プレビジョン）、『あなたの葬送は誰がしてくれるのか』（興山舎）などがある。

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