実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「一緒に」(37分)
ユキさんがバスガイドになりたての二十五年前、十九歳の初夏の北海道での出来事。 その日は青森からの大勢のツアーの団体様を迎えるため、函館の港で深夜二時前に待機していた。フェリーが到着しお客様を乗せた後は深夜中移動で翌日から登別や小樽を観光して回る予定だった。 バスが定刻通り出発して四十分後トンネルを抜けた先にあるパーキングエリアで最初の二十分間の休憩に入った。そこには大きくてきれいなトイレがあるので、休憩所として重宝されていた。 やがて休憩が終わり出発しようというタイミングになって一人の男性客が青い顔をして黙ってバスを降りてしまったのだ。
「縁取り」(40分)
Fさんという男性の体験談。 今から14年ほど前、当時お付き合いしていた現在の妻Kさんと、Kさんの従妹のMさん、そしてMさんのご主人との四人はとても仲良く家族のような付き合いだった。 ところが少ししてMさん夫婦に子供ができたと連絡が入る。お互い子供がいないうちは頻繁に行き来していたが、大阪と奈良の距離感と子供の世話とで次第に会う頻度は落ちていき、六年の歳月が流れた。しばらくぶりにMさんからKさんに電話が入った。 それはMさん夫婦の六歳になる一人息子が変死してしまったことと、Mさん夫婦が離婚することになったという悲報だった。
「植込みの頭」(27分)
伊藤さんという四十代の女性は霊感が強い。 自分でも多くの不思議な体験があるそうだが、妹が体験した出来事もとても気味悪く記憶しているという。四つ年下の妹がまだ小学生の時のことだ。 ある夏の晩半べそをかきながら息せき切って帰ってきたので家族中びっくりしたのだそうだが、何があったか尋ねると……。 その日習い事の帰り道、妹はウォークマンで好きな音楽を聴きながら自転車で帰宅途中、近所の公園に差し掛かったあたりで急に音楽が止まってしまい、自転車を停めた。 すると人気のない公園から「ママ……ママ……」という心細げな幼い少女の声が聞こえてきという。
「429号室」(37分)
みおさんという女性が高校の修学旅行で京都は祇園にあるホテルに宿泊した時の事。 日中京都市内の寺社仏閣、観光地を見て回り、おいしいものを食べたり、ショッピングしたりと充実した時間を過ごした後のお楽しみはやはりお泊りだ。学生たちを乗せたバスが到着したのは思わずため息が出るような綺麗な外観のホテルだった。 ところがなぜかその日、エレベーターが使えないとのことで部屋までは階段を使うように指示された。重い扉を開けた先に出てきたのは従業員用のバックヤード。外観とは裏腹のボロボロの古い空間だった。 そしてこの後彼女たちの身には思いもよらない夜が待ち受けていた。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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