内容紹介
園子は告白する。
彼女の、許されざる愛の顛末を……。
人妻である園子は、技芸学校で魅惑の年下、光子と出会った。
その美貌、妖艶さ、奔放さに惹かれ、園子と光子は仲を深めていく。
それは友情を超え愛情となり、禁断の関係へと発展する。
密かに逢瀬や文通を重ねる園子と光子だが、
2人の関係は噂として広まり、当然、園子の夫の耳にも届いた。
しかし夫に交際を咎められることでかえって恋は燃え上がり、
同時に、園子は夫を疎ましく感じるようにもなる。
一時は激しい喧嘩になったが、
次第に夫は2人の関係を容認するようになる。
そんな折、光子には異性の愛人、綿貫という男がいることが発覚する。
さらには光子は妊娠しているという。
しかし光子は言う。
「夫婦の愛は夫婦の愛、同性の愛は同性の愛」だと。
男女4人の関係は情欲と苦しみを孕み、拗れていく。
綿貫は園子に、お互いが光子との関係を邪魔しないという契約を強要し、
さらには、その誓約書を手に園子の夫へ接触を図る。
やがて光子の魔力は園子の夫へも及び、
複雑に絡み合った愛情は、破滅の道へと進み始める……。
禁断の恋愛関係を赤裸々に語った、谷崎潤一郎の問題作。
谷崎潤一郎
1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。
1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。
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