実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「もう少しだけ傍にいて」(23分)
秀美さんという60代の女性が体験した、今から二十年ほど前の出来事。 子育てに懸命だったその当時に、三歳年下のナホさんといういうママ友が出来ました。年下ではあるけれど頼りがいのあるしっかり者のナホさんとすっかり仲良くなり、以来子供が大きくなってからも親友のようなお付き合いが続いていたのですが、ある日ナホさんは脳内出血で突然倒れてしまいます。 一命はとりとめたものの意識は戻らず、危篤の報を受けて病室に駆けつけた秀美さんでしたが、ご家族の悲しみにいたたまれずにすぐにそっと離れます。 静かな廊下を歩いていると急に髪の毛を背後から引っ張られ……。
「上へ続く花畑」(31分)
沖縄県在住の川上さんという女性は幼いころ事情があって祖母とともに暮らしていた時期があるそうです。 同時期にやはりご両親を亡くされた従姉のお姉さんと祖母の息子さんとで過ごしていたそうですが、しばらくしてお婆さんがガンを患い他界し、それから二十年後に東京に出て一人暮らしだった従姉のお姉さんも白血病に侵され亡くなったそうです。 お姉さんは最期の時を懐かしい祖母の家で祖母の息子さんと時々は川上さんとも過ごして、三人は昔を思い出したりしていたそうです。そうして従姉のお姉さんの17回忌でした。 目を閉じ読経に耳を澄ませていた川上さんが気配を感じてふと目を開けるとそこには若かりし日の祖母と二人の子供、広い花畑が広がっていたのです。
「怖い家 前編」(22分)
武田さんという女性がまだ小学生の時の事。仲良しのMちゃんが「今日両親が二人とも不在でおばあちゃんだけしかいないの」というので、お泊りに行きたいと申し出ると二つ返事で「おいでよ」という。早速支度して洗面具と着替え、お土産をもって訪ねるとおばあちゃんが笑顔で出迎えてくれました。わくわくしてはおりましたが同時にどことなく薄気味悪さを感じたのは、Mちゃんの家がどこもどんよりと暗かったからでしょうか。古い二階建ての一軒家には蛍光灯の代わりに橙色のランプが灯っておりました。やがてMちゃんはこの家で数々の怪体験をしていると話し始めたとき、誰もいないはずの二階からはっきりと歩き回る足音が聞こえてきたのです。
「怖い家 後編」(23分)
怖いのは平気だと強がってはみたものの武田さんは大の怖がり。 家の暗さといい、Mちゃんの話といい、二階から聞こえる足音といい、とても怖くなってしまいますが、せっかく泊まりに来たし、怖いから帰るとも言い出せずに夜を迎えました。 できれば不穏な足音が聞えた二階ではなく一階で寝たかったのですが、寝室は二階とのこと……。Mちゃんと二人で二階に上がると三部屋あり、Mちゃんは何を思ってか正面の部屋のドアを開けた。 「!!」そこだけフローリングの部屋には壁という壁に棚が据え付けられており、ぎっしりとぬいぐるみが飾られていた。ちょっとすると可愛いはずのぬいぐるみなのに、何とも言えない不気味が部屋中に満ちており……怪異はすでに着実に忍び寄って来ていたようです。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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