内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
貞代の家は重松という武家の家であり、父・重松伊十郎は若くして、同役数名の責を負って切腹し、重松の家は追放の処分を受けていた。まだ貞代と弟の亀之助が幼い頃のことだった。母は祖父の家に身を寄せることを断り、二人を連れて江戸へ上った。
貧しい長屋を借りた貞世の母は二人に対して、武士の心を忘れぬようにと常々言って聞かせた。
こういう裏町に住んでも、悪い遊びやぶしつけな言葉には馴れないよう、亡くなった父上の子として恥ずかしくない、正しい人間にならなければいけない――
母は朝早から、夜の遅くまで賃仕事をしていた。冬は自身が凍えるのもかまわず、夏はうだるような暑さに耐えて懸命に働いた。自身は食べられずとも、貞代と亀之助には食べさせ、自身は白湯を啜っていた。
だが、無理のたたった生活は母の命をむしばんでいた。
母の亡くなる前夜のこと、貞代と亀之助は母から二粒の飴を渡され、「おあがりなさい」と言われた。貞代はそこで厳しかった母の想いの真相に触れる……。
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903〜67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。
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