内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
笈川哲太郎たち七人は、次席家老・森内兵庫に賛同し、悪名高い城代家老・溝口左仲を討ち果たす。
だが、もう一人の次席家老・鮎沢多宮の陰謀で、殿から問罪されている溝口の暗殺は上意に反する私闘だとして森内は捕らえられ、哲太郎たちにも追っ手が出された。
そこで、近習番頭・松尾新六が鮎沢の策謀の前に江戸に行って殿へ直訴することになった。
十五日の間に戻るから、どんなことが起こっても、必ず七人で待っていてくれという新六を信じ、七人は砦山に身を潜める。
ところが五日目の暮方、梶井の千乃が砦山に登ってきた。千乃は既に結納を済ませた鉄太郎の許嫁であった。苦しそうに喘ぎながらも一人でここまでやって来たのには理由があった。
討ち手が来るというのである。それに哲太郎たちの協力者である松本太兵衛が捕まったのだという。
ここが戦場になるまでに哲太郎は千乃を逃がそうとするが、時すでに遅く、討ち手は砦山に迫っていたのであった……
山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903〜67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。
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